□ある男は持論を語る
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あの能力は面白いと思った。
人間の欠点こそが逆転の発想で最大の武器となる。
あの能力は僕の持論にぴったりとおさまる素晴らしいものだった。





影が薄い。地味。存在感皆無。
逆を言えば人に気づかれにくい。




お前はその逆さえも欠点だと思っているだろう?
僕からすればそれは面白い欠点、能力だ。
その欠点は僕の力によって武器に為れる。





人に気づかれないまま、まるで存在しないかのように扱われるのは苦痛か?
望んでもないのに、存在に気づかれないのを世界から見放されたと嘆くか?
気づかれたとしても、存在の薄さからすぐに忘れられるのを悲しく思うか?
まるで、自分だけ世界とは違う空間にいるような感覚を心さみしく思うか?




逆だ、思考を逆転させろ、
全くもって逆の話だ。




僕によってその苦痛は快感に、嘆きは歓びに、悲しみは愉しみに、
さみしさは嬉しさに変わると言ったらお前はどうする?





きっと、いや、絶対僕の手を取る。




何故か?
何故なら自分の存在できる世界を誰だって求めているのだから。
お前がその「誰だって」に含まれないなら話は別だが、
お前はきっと、俺の手を取る。




お前は誰よりも誰よりも焦がれているからだ。
羨望に、嫉妬に、絶望に、焦燥に、




いいんだ、人間はそういう生き物だ。




その逆境が変わるのならば、必要とされたと思い込み、
手を伸ばさずにはいられない強欲な生物だ。








その強欲が俺を創り、
強欲の塊が新しい世界をお前に与えるんだ。






さて、 どうする テツヤ ?






俺の手を取れば世界が変わることを保証しよう。
その世界を、欠点を、代えたいと想わないか?













(たとえすぐこわれる世界でもきっと君は求める)
(それが人間だ、黒子)










→アトガキ
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