□月までもが俺を嗤っているようで
1ページ/2ページ





愛してるよ、
大好きだったんだ、
愛してる愛してる愛してる、
どうして今さら、
君はこんな俺を笑うかな?
嗚呼笑う君さえももういないだなんて
どうして
死ぬのなら、俺が、
死にたかったと言ったら
君はこんな俺に怒るのか?
愛してるんだ、
嗚呼、嗚呼、嗚呼…




「葵、葵、葵…!」





どうして気付かなかった、
気付けばもっと君に
君にふれられていたのに、
裏切りなんてしなかった
時間を無駄にし過ぎたのか?
それとも生まれてきた時代が
間違っていたのか?





教えてくれ、葵、葵、葵…






生まれた時代が違ったのならば
君と俺はもっと……
距離が縮まって、
君は、君は、君は、
いなくならなかった?





嗚呼、嗚呼、嗚呼…




こんな俺を君はどう想う?
それを問う君さえも、
此処には、目の前には、隣には、












いないというのに !











「葵、どこだ、葵!!」




俺が悪かったと認める、
お前の我が儘だって聞く、
全てお前の想うままにしてやる
だから、だから、だから








「葵…返事を…………」







愛していたんだ、
そう、愛していた、
俺は時代に翻弄されていた
時代の渦に呑まれていた
だから、君への想いなど、
嗚呼、
こんな時代に生まれなかったら、
そう想う俺を君は、





君は愛してくれたのか?







「葵…………愛してる………」







自分の喉から出たとは思えないか細い声が飛び出す。


情けない、と君は笑うだろうか
笑う君を二度と見れないだなんて




視界が歪む。
ぽたり、ぽたりと雫が、
嗚呼……これは、涙か、








「あおい………」







君の分まで俺は生きる
君の分まで時代の波に逆らい
君の分まで世界を愛し
君の分まで世界を憎もう




この時代に君と俺を生んだ神にさえも俺は牙を剥こう







「…また、逢う日まで、」





そう君は死んでない
君は、きっと、そう、きっと
そう信じることしかできない
君の嘘さえも見抜けずに
嗚呼、君は笑ってるのか
こんな俺を、
そんな君はもう、
君は、死んでない、きっと
でも隣には、もう、いない








「葵………っ!!!!」





静かに頬を伝っていく涙
珍しく張り上げた声に喉は痛み
そんな自分の口許も
機体から揺らめく炎さえもそう、




















溢れ出した記憶の中で笑う君は俺を責めているかのようで
俺は追憶の渦に呑まれていった








アトガキ→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ