□屋根裏の下で見る世界
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「…やはり負けたそうだ」
「……だろうな」


異国の地、寄り添うように眠っていた葵の横で葛はぼそりと呟いた。
耳障りのいい重低音に葵は瞼を上げ、覚醒した目で葛を見る。




「高千穂勲が言ってた通りになったな」



「所詮人は…



「否、お前は言ってた。
高千穂勲が見た世界も節穴から見た狭い世界でしかないって」




何が正しいのかなんて、そう
誰にもわからない。



それが時代の流れを変えるものならば尚更
その時代の産物を見ない限りわからない。




「…きっと世界は変わるよ」
「嗚呼」







大丈夫、俺たちのしたことは
間違ってないよ








「……未来が見たいな」




「馬鹿なことをいうな」



葛が眉を潜める。
その眉間に指先で触れるとますます不機嫌になったのか手首をつかまれた。




「節穴から見た未来など二度と見たくはない」






「それもそうだな」


つかまれた手首を見、苦笑する。



節穴からみた世界はもういい。
だから、なるべくながくながく生き永らえて生き延びて、





「……お前の見たのとは違う世界を屋根裏からじゃなく、屋根裏の下から見るよ」





俺たちが曲げた時代の流れが
正しいと証明してくれる未来を



狭い節穴からじゃなく、
自分の見える限り見渡せる部屋から見るんだ













今度は自分自身の視野で世界を見ようとおもうんだ












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