裏学園便り
□熱が出る時。
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微かに香る煙草の匂いに、少しだけ名残惜しさを感じてる自分がいる事に、リョーマは驚いていた。
…こんなの……
熱のせいで気弱になってるだけ……
カーテンの仕切りの向こうで、医者に電話する若月の声が聞こえると、リョーマは朦朧としながら自分に言い聞かせていた。
リョーマはそれから意識が遠のいた。
気がつくと、リョーマはいつの間にか、自室のベッドに寝ていた。
ここまでの過程を思い出そうと、記憶を辿るが真っ白だった。
「……記憶が抜け落ちてる…」
ふと見るとテーブルの上に置き手紙があった。
[なんか食べたくなったら呼べ。 若月]
リョーマは手紙を見つめ、そのままボンヤリしていたら、携帯電話が鳴った。
「…ハイ」
リョーマが無意識で応じると、電話の向こうからは、恋人の声が聞こえた。
『なんだ起きてたのか?』
「…あ」
『帰ったと聞いたからな。生きてるか?』
「まあ…」
『そうか…じゃあな』
電話はたったそれだけで切れた。
リョーマは携帯電話を睨みながら、ボソッと呟いた。
「…なんだ今の電話は……」