裏学園便り
□熱が出る時。
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「ホラ、遠慮しないで食えよ」
リョーマの目の前に小さな土鍋があり、蓋を取るとふわっとダシの良い香りと、暖かいお粥が現れた。
「…具が無い…」
「白粥だって言ってんだろ、どうせ味なんてわかんねーだろが?梅干しは付けてやるからこれで食え!」
リョーマはレンゲで粥をひとさじ掬うと、そっと口に運んだ。
「……意外…」
「何がだ」
「若月先生、料理上手いっスね……このお粥絶妙だし…」
「本当に味わかってんのか?……まぁいい…とにかく食えよ」
「うん」
リョーマはあれからすぐに、若月の携帯電話に電話していた。
そっけない恋人からの電話への、当てつけのつもりだったのかもしれないが。
「それにしても、お前さ〜人に電話して、[メシ]だけ言って切るなよな…フツー有り得ないだろ?」
「…電話ってあんま好きじゃないんだよね…」
黙々と食べ終えると、リョーマは薬を飲みながら、若月を見て言った。
「若月先生…そういえば、オレどうやって寮まで来たの?」
「なんだ覚えて無いのか?オレ様がおぶってやったんだ…ついでに言うと着替えさせたのもオレ様だ」
「!」