裏学園便り
□熱が出る時。
5ページ/6ページ
「重労働の貸しは大きいぞ〜♪」
にやにや笑いながら若月は、楽しそうに言った。
「…そーゆー…」
リョーマが反論しかけたら、若月の手がリョーマの手を取り、ベッドに押し付け覆い被さった。
「…あんま過剰に反応すると襲って貰いたいのかと、錯覚しちまうぜ?」
「…っ」
「…食ったんなら寝ろ…オレ様は帰るから」
若月はリョーマをゆっくり解放すると、空の食器をまとめた。
「…先生…」
「ん?」
「…ありがと…」
「…ああ」
その晩、リョーマは誰かにソックリな魔王に囲われた夢を、見たとか見なかったとか…。
翌朝、夢にうなされて目覚めると、リョーマのベッドの端には、見慣れた背中が座っていた。
「あ……」
「ん、どうだ調子は、お姫様?…」
振り向いた眼鏡の奥の瞳が、リョーマを見つめる。
「中嶋先生…どうやって…」
「鍵なら開いてたぞ…まあ開いてなくとも、オレには無意味だがな」
「…いつから…」
「夕方にはいたが…薬が効いてるのか、全く目覚める気配がなかったな」
この人がオレの担任の先生であり、恋人の中嶋英明。
端から見ると恋人と言うよりは、支配されている…と言った感じ…らしいけど……。