学園便り
□新入生がやって来た
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環はプリントを受け取りながら校長に満面の笑みを向ける。
「おお、新入生とは春らしい!」
「そうでしょうそうでしょう、春は新たな出逢いの季節ですから………ね、先生たちも――」
環の反応に手応えを覚えた校長は、これはスムーズに事が運びそうだと上機嫌でレオナードと中嶋へ笑顔でプリントを渡す。
「新入生、ですか………ふぅ。」
「なんだぁ、新入生だぁ?オレんとこはこの前来たからイラネーよ、めんどくせえ。」
しかし、校長の表情とは対照的に2人の表情はあからさまな嫌悪で満ちていて、渡したプリントを今にも握りつぶしそうだった。
「レオナード先生、中嶋先生!こんな素晴らしい事を何故嫌がるんだ?」
環は2人の反応が理解出来ず、首を傾げて問いかける。中嶋はヤレヤレと溜息を吐きこめかみを押さえ、レオナードは環の首に手を回しガシッと絞めると
「うるせーホスト!だったらウチの新入生はオマエんとこにくれてやるぜぇ?」
ガシガシと頭を掻き髪を乱した。
「な、なんて事をするんだ、レオナード先生っ!中嶋先生、この猛獣をどうにかしてくれ〜っ!」
環は苦しそうにもがき、中嶋に向かい助けを求める。しかし、中嶋はクールな表情でプリントを見つめ
「そうだな、なら俺のところの新入生も須王先生にお譲りしよう。」
サラッと呟いた。
「な、何っ、中嶋先生まで……こんな素敵な出逢いを拒絶するなんて。ああ、嘆かわしい!」
まるでこの世の終わりだと言わんばかりの表情をし、オーバーなリアクションをする環。
レオナードはハハッと笑いながら尚も環の頭をガシガシと掻き乱していた。