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□幸せの見つけ方
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『今日も真夏日です』

そんな天気予報を数日前まで毎日聞いていたのだが

最近は朝晩冷えるようになった。

窓を開け放していると、寒いと思うほどに。



部屋の住人の体温を奪うべく、窓から冷たい空気は流れこむのだが

溶け合う二人の熱を覚ますことはできなかった。





「ん‥あきやまさん‥?」

「あぁ、悪い。起こしたか」


うとうとしちゃいました。と目をこすりながら答える直の瞼に口づける。

幸せそうに微笑む姿に、秋山も笑みを浮かべた。


「ちょっと寒くなってきたからな、窓閉めないと」

開け放したままの窓を閉めるため、再び身体を起こした。


「あと服も着ないと、そろそろ風邪ひくぞ」

「‥っ!」


先程の優しい笑みとは違い、意地悪く笑いながら

彼は剥き出しになっていた彼女の肩までタオルケットをかけた。


そして月がもたらす明かりを頼りに服を探す。

彼女は上体を起こし
「待ってください」 と引き止めた。



「これがあれば大丈夫ですから!」

そう言いながら直が指差したのは布団だった。

急激に寒くなった時のことを考え、足元に畳んで用意しておいたもの。


「でも窓閉めたほうが‥」

「ふふっ、いいんですよ!」



布団をひっぱり広げると、 早く早くと秋山を急かし一緒に布団に入った。


「寒い中あったかくしたほうが、幸せ感じません?」

楽しそうに笑う彼女に、秋山は目を細めた。


「そうだな」

彼女を抱き寄せ、包み込む。


「あったかい‥」

幸せ、です。

彼女も彼を抱きしめ、微笑んだ。




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幸せとは、それを見つける才能




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