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□羞恥徹底せよ
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意を決して彼女は問う。
「あ、秋山さんは‥恥ずかしくないんですか?」
「‥何が」
「その‥明かり‥つけたままで‥」
どんどん小さくなっていく声。
ぷしゅぅ と音が出そうな程、顔は赤く染まっていた。
「あぁ、‥駄目なの?」
「わ、私は恥ずかしいんです!秋山さんは何で恥ずかしくないんですか!」
「二人きりなのに、なんで恥ずかしがるんだ?」
「なんでって言われても恥ずかしいものは恥ずかしいじゃないですか‥」
「‥じゃあ明かりは消すよ」
「本当ですか?」
「残念だけど」
「残念って‥」
「だって、君の一番気に入ってる顔が見れなくなるんだから」
残念だろう?
その言葉に直は驚いて目を見開いた。
「俺は君の事、ずっと見ていたいんだけど‥な」
寂しげに畳み掛けると
「わっ私も秋山さんのこと見ていたいです!」
勿論!と続きそうなほどはっきりと彼女は答えた。
秋山の口角が僅かに上がる。
そっと抱き寄せ彼女の耳もとで囁いた。
「じゃあ今夜も、俺の好きな直を見せてくれる?」
彼女はゆっくり、頷いた。
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彼女の相手は、口の上手い元詐欺師。