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□涙が流れるその時だけは
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彼が居なくなってから、思い出しては涙する。

私のことを守ってくれた彼。
私のために怒ってくれた彼。
私に笑いかけてくれた、彼。

色んな秋山さんを思い出しては、涙する。

我慢なんてしない。

こうやって泣いてると
『また、泣いてるのか?』 って来てくれる気がして。


あきやまさん、わたし、泣いてます。
とてもとても、悲しいんです。
辛いです。

大好きな人に、騙されました。
だから助けに来てください。

彼ったら酷いんですよ?
ずっと傍に居るって言ったのに、居なくなってしまったんです。
また騙されてしまいました。
本当に馬鹿正直だなって、何度騙されるんだよって、笑いますか?
笑いに来て、くれますか。

本当はずっと怖かった。
馬鹿正直の私だけど、彼のずっと傍に居るという言葉だけは何処か信じ切れなくて。
怖かった。

どこかで、判っていたんです。 こうなるんじゃないかって。でも彼の‥秋山さんの言葉だから信じていたかった。
悲しい。判っていても悲しいです。

いつも私が泣いてると助けに来てくれたじゃないですか。 だから今回も、助けに来て‥ください。

‥どんなに待ってももう、来てはくれないのですか?


今日も彼のことを思い出しては涙する。
『また、泣いてるのか?』 声が聞こえた気がして振り返っても、誰も居ない。

ううん。
気のせいだって、判ってた。

でも振り返らずにはいられない。
閉まったままの、ドア。 誰も居ない部屋。

今日も私は涙する。

彼を想って。

彼の帰りを待ちながら



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