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□彼女観察日記
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「秋山さん、私何か変わったと思いませんか?」
夜、ご飯を食べてなんとなくテレビを見ていたら、泊まりに来ていた彼女が突然こう言い出した。
「変わった‥?」
「はい」
「何か‥?」
「そう、何かです!」
さぁ、どうぞ!とでも言いたげな顔で見つめられても判らないものは答えられない。
‥困った。
じっと彼女を見つめ暫く考えてみたものの、特に変わったと思うことが見当たらない。
ネックレスは、『気に入ってるんです!』と最近ずっとつけてくれている、彼女の誕生日にプレゼントしたものだし。
スカートは彼女らしい、ふわふわとしたワンピース。
以前待ち合わせ場所に現れた彼女のスカート丈が膝よりかなり上だった時には、すぐに家に連れ帰った。他の奴の目に触れさせたくなくて。
でも今日はいつもの彼女らしい膝丈で。
頬は赤みが差していて、顔色は悪くない。体調が悪いわけでもなさそうだ。
唇はいつもと同じく艶めいていて、見ていると思わず吸い寄せられそうになる。
‥質問の答えを見つけるのが先だと言い聞かせて耐えたのだが。
外見ではなく中身だろうか?
昨日も架空請求のメールにあたふたしていたし、一昨日は近所の小学生に騙されてからかわれましたと笑っていたっけ。
とにかく馬鹿正直は相変わらずの彼女。
本人曰く 『私最近騙されなくなってきました!』 らしいのだが‥。変わってないよな。
『秋山さん、ほっとくとご飯食べないんだから!』
と よくご飯を作りに来てくれて、冷蔵庫や冷凍庫には彼女お手製の料理がよく入っている。
そんなちょっとおせっかいな、優しいところも相変わらず。
誰彼構わず優しいのが 少し妬ける所だけど。 ‥ほんの、少しだけ。
などと延々考えていたら痺れをきらせた彼女が
「〜〜〜〜っ、髪です!」
というものだから よくよく見れば前髪が少しだけ短くなっているような‥。
それを伝えると
「前髪だけじゃなくて全部!後ろなんて10センチも切ったんですよ!?」
と言われたのだが‥。
確かに‥
短くなっている・・・気がする。
でも元々長い彼女の髪は、彼女曰く10センチ切ったとしてもまだまだ長くて。
普通は判らないと思うんだが‥。
まぁ前に 『髪は女の命ですっ!』 って力説していた所を考えると
10センチだろうと鋏を入れるのは結構思い切った行動だったんだろう。
「トリートメントもして艶々なのに‥」
と髪を一束指でくるくる巻きながら、八字眉で口をちょっと尖らせていじけてる。そんな君の姿が可愛くて。
後ろからそっと抱き寄せて耳もとで
「直‥ごめんな‥?」
と囁けば、「‥っ‥もう‥!」 と言いつつ たちまち君のご機嫌はよくなって。
拗ねた君のご機嫌を直す方法は簡単。
だけどもう少しだけ、拗ねた顔を見ているのもよかったかも‥
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観察結果:どんな彼女も可愛い。