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□曖昧な関係の君と
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野球になんて特に興味のなさそうな彼女が
たまたまつけたテレビに映った野球を見始めたのは20時と半分を回る頃。
普段はTVを見ない彼女も、日本シリーズとなれば興味は湧くようで。
「なんか‥ドキドキしますね。どっちも頑張って欲しいです!」
気付けばにわか野球ファンとなっていた。
週に2日か3日、彼女がご飯を作ってくれて一緒に食べる。
お互い家族が居ない身なので、ある意味では一番しっくり来る、けれどおかしな関係。
「お世話になったお礼にご飯作ります!」という言葉にはそんなものは要らないと返せたものの
家で一人食べるご飯は寂しいという言葉には返す言葉がなかった。
彼女を少しでも救えたら。そう思ってたまに一緒にとるようになった食事。
毎日ではないので一人で食事をすることもあるのだが
一人の食事は寂しいと感じてしまうことに、いつからか自分が救われていることに気付く。
食事は彼女の家に行くこともあれば、彼女が来てくれることもある。
今日は彼女がいっぱいの食材と共に家にやってきた。
いつものように彼女の料理を味わい、彼女と取り留めのない会話をする。
そして、今に至る。
彼女がテレビに夢中になっていることに気付いた瞬間、心のどこかで警鐘が鳴った気がした。
・・・それには気付かないふりをした。
野球は結局同点のまま、延長15回。 もうすぐ日付が変わる。
まさかここまで長くなるとは・・・・・
思っていなかったか?本当に。
同点のまま回を増すごとに、どこかで喜んでいなかったか?
終電がなくなる前に、携帯でテレビを見ながら彼女を送ることだってできたはず。
結局は・・・・・
「泊まってくか?」
何かを口実にして彼女を帰したくなかっただけのこと。
『曖昧な関係の君と』
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土曜の試合は関東ではやってなかったようですが、捏造万歳。
日曜の試合は全国放送だったんですよね。 だったらいいんじゃないか別に、ということで。
土曜の延長15回、ラストまで見たら日付が変わってしまいましたよ、と。