text1

□曖昧な関係の君と
1ページ/1ページ


野球になんて特に興味のなさそうな彼女が
たまたまつけたテレビに映った野球を見始めたのは20時と半分を回る頃。

普段はTVを見ない彼女も、日本シリーズとなれば興味は湧くようで。

「なんか‥ドキドキしますね。どっちも頑張って欲しいです!」

気付けばにわか野球ファンとなっていた。



週に2日か3日、彼女がご飯を作ってくれて一緒に食べる。

お互い家族が居ない身なので、ある意味では一番しっくり来る、けれどおかしな関係。


「お世話になったお礼にご飯作ります!」という言葉にはそんなものは要らないと返せたものの
家で一人食べるご飯は寂しいという言葉には返す言葉がなかった。

彼女を少しでも救えたら。そう思ってたまに一緒にとるようになった食事。

毎日ではないので一人で食事をすることもあるのだが
一人の食事は寂しいと感じてしまうことに、いつからか自分が救われていることに気付く。


食事は彼女の家に行くこともあれば、彼女が来てくれることもある。

今日は彼女がいっぱいの食材と共に家にやってきた。


いつものように彼女の料理を味わい、彼女と取り留めのない会話をする。



そして、今に至る。

彼女がテレビに夢中になっていることに気付いた瞬間、心のどこかで警鐘が鳴った気がした。

・・・それには気付かないふりをした。

野球は結局同点のまま、延長15回。 もうすぐ日付が変わる。


まさかここまで長くなるとは・・・・・

思っていなかったか?本当に。


同点のまま回を増すごとに、どこかで喜んでいなかったか?

終電がなくなる前に、携帯でテレビを見ながら彼女を送ることだってできたはず。


結局は・・・・・


「泊まってくか?」


何かを口実にして彼女を帰したくなかっただけのこと。










----------------------

土曜の試合は関東ではやってなかったようですが、捏造万歳。
日曜の試合は全国放送だったんですよね。 だったらいいんじゃないか別に、ということで。

土曜の延長15回、ラストまで見たら日付が変わってしまいましたよ、と。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ