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□hot chocolate
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まだまだ寒いとはいえ、晴れた昼間は幾分か温かくなってきた季節。

沢山の店がピンクや赤のハートでデコレーションされている、バレンタイン当日。

秋山は一人、行く当てもなく街を歩いていた。


(いくら俺が疎いっていっても‥外に出れば気付くよなぁ)

今朝の彼女の落ち着きの無さを思い出し、口元が緩んだ。



『秋山さん、今日は天気もいいですし何処かにお出かけしないんですか?』

『え?一緒に? え‥と、あ、頭が!頭が痛いので私は家に居ます』

『だ、大丈夫です。大丈夫なので出かけてきてください!』

『ええ? えと、寝てればすぐに治りますから!』


相変わらず嘘と隠し事が下手な彼女。

気付いてはいるものの、彼女の計画には自分が居ては困るのだと察し騙された振りをする。


一緒に住み始めて初めてのバレンタイン。


我が家に帰れば甘い香りと彼女が迎えてくれるはず。

秋山は帰った時にどう反応すべきか、考えながら街を歩いた。








(それにしても‥いつ帰ればいいんだ?)






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