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□ありがとうを君に
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初めから別々の道を歩んでいた。

本当なら交わるはずが無かった二人の道。


出会えて、良かった。




また別々の道を、ここからは一人で歩いていく。




ありがとう。

君は俺の、希望だった。














秋山が馬鹿正直な彼女に言いたい言葉は愛の告白ではなく、感謝の言葉。

彼女の為に、想いは仕舞い込んで前へと進もうと‥決めた。


彼女が自分に縛られない為に。

想いに別れを、そして想いを過去にすべく、秋山は彼女から離れる決意をしていた。

彼女の傍に居ると彼女を見守る決心が鈍りそうで、彼女の明るい未来の邪魔をしそうで、

彼女から離れ前を向いて進むことを決めたのだ。


直もまた、彼との別れを僅かながら予感していた。

彼女の縋るような視線に秋山は何度も迷いそうになるが、彼女の為にと、決めたこと。


出会うことがあれば別れもある。

別れの寂しさなんてすぐに忘れて、新たな時を進んでいけるはず。

すぐに忘れることができるはず。


彼女に言うように、何度も自分に言い聞かせていた。





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