‡A la carte‡

□図書委員長の受難
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「あのさぁ、いくら人がいないからって、君達どうにかならないか?」

彩人「良いじゃない。固い事言わないでよ、委員長♪」

図書室をホテルとでも思ってるのか、学校の王子様二人が、人もひいた俺の聖域でベッタリだ。

「委員長じゃない。長谷川悠斗って名前がある。いい加減覚えてくれ」

彩人「ああ。そんな名前だったっけ?」

皐「へ〜。そんな名前だったんスか…」

『………こいつら…』

まあ、二年の咲坂は仕方ないとして、ずっと同じ委員の綾瀬川に至っては自分が本当に興味のある人間しか、名前を覚えようとしない。

しかも!

その上で気に入った人間しか、名前で呼ばない。

いつもニコニコとしているが、心から笑ってる訳じゃない。

『王子様♪』なんて言われてるが、本性はものすっごく腹黒悪党なんだと思う。(※図書委員長の憂鬱参照)

悠斗「はぁ〜。も。良いから、出てくれる?鍵閉めるから」

彩人「ねぇ、悠斗。鍵は僕が返しておくからもう少し良いかな?」

綾瀬川は急に手を掴まれ、ニッコリと微笑んだ。

悠斗「え?」

同性ながらドキリとした。

コイツは自分の綺麗な顔立ちを分かってて利用する。
そんな満面の笑顔で、意味ありげに笑われたら、意識するなと言う方が無理な話だ。

「おい。悠斗帰るぞ」

声と共に図書室の扉を開け、幼なじみが顔を覗かせた。

悠斗「あ、ああ」

この男は幼なじみで腐れ縁の小野寺 孝行。
家も近く、孝行はまだ現役で部活動している為、帰りは一緒になる事が多い。

「ほら綾瀬川達も。残ったってすぐに生徒会長がくるぞ。いちゃつくなら余所行ってやれ」

彩人「あ〜あ、残念。皐と良い感じだったのに…」

皐「ぜんっぜん良い感じじゃねぇし!」

孝行が、二人を追い出してくれたお陰で、鍵も無事閉めれて安心した。

−−−なのに何だろう?胸がモヤモヤする−−

−−−−−−−−−

孝行「−−−でさ、……聞いてる?悠斗」

悠斗「あ?ああ、聞いてる聞いてる」

結局、あのモヤモヤは未だ分からず仕舞いのままだ。

綾瀬川が鍵がどうのって話あたりからか?

また、一人悶々と考えに耽ってしまっていた。

孝行「おい、悠斗。マジで大丈夫か?」

悠斗「ご、ゴメン!何の話だっけ?」

孝行「だから、お前の事好きだって話」

悠斗「……………は?誰が?」

突然の出来事に対応出来なかった。
そんな話してたか?

孝行「随分間があったな。最初から話聞いて無かったろ」

悠斗「うっ。まあ…」

当たり。
ぜんっぜん!聞いてませんでした。

孝行「はあ」

孝行が小さく息を吐くと、暫くうなだれた。

と、急に顔を上げたかと思ったら、俺の目の前に孝行の顔が広がり、口が塞がれた。

悠斗「んん!?ん〜〜〜〜!!」

いったい俺に何が起こってる?

パニックしまくっていた。

悠斗「…ハッ…んぅ…んたか…っ」

唇をヌルリとなぞられ、口内を犯され息が出来ない。

クラクラする。

やっと孝行の唇が離れた頃には初めての快感に頭がぼんやりとして、息も絶え絶えになっていた。

孝行「オレがお前をこういう意味で好きだ。って話」

悠斗「あ……う…あの……ゴメン!」

初めて見る孝行の真剣な眼差しにどう返せば良いか分からず、その場を逃げ出していた。

逃げ出したものの唇の感触が、刻みついた温もりが、あの熱く鋭い眼差しが、焼き付いて離れない。

『オレがお前をこう言う意味で好きだ』

心臓を射抜くほどの真剣な眼差し……あんな孝行見た事無かった。


−−その日、逃げる様に学校を後にして以来、孝行とマトモに顔を合わせるなんて出来なくて避ける日々が続いた−−
 
 
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