ノーマル

□まさか
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「波江ー」


 全身黒づくめの情報屋、折原臨也はチャットに興じながら秘書と言う名の雑用係を呼ぶ。


「なみえー、なみ」


「何よ、うるさいわね」


「はは、酷いなぁ」


 臨也は立ち上がり、書類の整理をしている波江を後ろから抱き締めた。


「っ!? 何よ、気持ち悪い……」


「無理しなくていいんだよ? ほら、こんなに熱いじゃないか」


 臨也は心配そうに言う。


「ギリギリまで気付かなかった俺も悪いけどさ、何で言わないの」


「……」


「仕事なら大丈夫だよ? 元々俺は1人でやってたんだし、って波江!」


 波江は熱があることがバレて気が抜けたのか、臨也の腕の中で意識を手放した。


「おいっ……」


 規則正しい寝息が聞こえ、臨也はほっとした。


「全く……俺はそんなに信用できないのかなぁ」


 少し寂しげに溜め息をついた。


 臨也は波江を抱き抱え、寝室へ向かう。

 薬何処に置いてたっけ。


 波江をベッドに寝かすと、臨也は薬を探しに部屋をでた。

 これかな。

 目当てのものを探しだし、キッチンへ向かう。


 夕飯にと手早くおかゆを作り、盆に水とお茶、薬と一緒に載せた。


「波江?」


 そっとドアを開けると静かに眠る波江が視界に入った。


 テーブルに盆を置き、ベッドサイドに腰掛ける。


「……怒る、かな……?」


 臨也は薬を自分であおると、波江の口に流し込んだ。


 キス。


 そんなことを考えて、臨也は1人で赤面する。


「ん……」


 波江が起きた。


 臨也はそっと口を離すと強く波江を抱き締めた。

 波江はまだ半分夢の中なのかぼーっとしている。


「あんまり心配、させないで」


 そう呟くと、波江は驚いた顔をした。


 それはそうだろう、いつもの俺なら嫌味のオンパレードだ。

 なのに……


 はは、まさか、こんな日が来ることになろうとは。


「波江、おかゆ作ってるけど、食べる?」






 まさか俺が、


 恋をする日が来るなんて。





――――――――――――――


 波←臨です

 ほのぼの片想いな臨也さん……!

 可愛いと思うのはきっと私だけじゃないですよね



 

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