臨也総受け

□世界から消えるのはお手のもの
1ページ/1ページ


登場人物*臨也*静雄

ジャンル*切なめ


☆企画サイトvanishさまに提出致しました





 しくじった。

 この俺としたことが……

 なんで躊躇したかな、俺。


 いや、理由なら分かってるけどさ。



「シズちゃん、さいてー」


「あ"ぁ?」


 隣に座る喧嘩人形が顔をしかめた。


「なんで来たのさ」


「てめぇが泣きそうな顔してっからだ」


「へ?」 


 臨也は目をしばたかせた。


「昨日だ。昨日の夜、泣きそうな顔してただろ」


 え? したっけ……?


 そんな疑問を読み取ったのか、静雄は更に顔をしかめた。


「自覚ないのか? とにかくしてたんだよ。だからまた、なんか厄介なことに首突っ込んだのかと思ってついて行ったんだ」


 ついて、来た……?

 うわ、全然気付かなかった。どっか緩んでるな、最近。

 それもこれも、みんなシズちゃんの所為。


「シズちゃんの、バカ」



 シズちゃんといると俺が俺でなくなる。



「ノミ蟲、てめぇ喧嘩売ってんのか?」


「あはは、どうだろうね?」


「ふざけやがって」


 缶コーヒーがぐしゃりと握り潰される。

 

 だから……

 もう、終わりにしよう。



「シズちゃん……ありがと、バイバイ」


 臨也は突然立ち上がり、去って行こうとする。


「待ちやがれ」


「やだ」


 得意のパルクールで本格的に走り出す。


 後ろから、シズちゃんが自販機を引きちぎる気配がした。


 さっさと今の事務所を引き払おう……

 俺が俺であるうちに。

 淡い想いは、俺を弱くする。

 頼ってしまう。


 ……情けない話だ。



「いーざぁやぁ!」


 シズちゃん、ごめんね。


 これ以上一緒にいたら、俺が駄目になるから……





 君という世界から、……







――――――――――――――


 企画提出!

 "消失"でしたので、静雄という世界から消え去る臨也を書いてみました




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ