☆敏感彼氏と鈍感彼女☆

□#3
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*謙也said*


四天宝寺の浪花のスピードスター、
忍足謙也や。

・・・中学の話やけどな。


ちゅーか、今俺は考えていることがある。
原因は、白石・・・・の彼女らしい人の発言や。


まず、「付き合うてる」は良しとしても、
「約束してん」は明らかに可笑しいやろ。
そのことを白石に伝えようとしたが、拒否されてしもた。
「いっぱいいっぱいやから」やって・・・。

聖書やったやろ!!

せやけど、1年前の方がもっと酷かったんや。
「謙也っ!」と勢いよく呼んだと思えば、
必ずといっていいほど麻生さんの話やった。


ホンマに勘弁してほしい時が多々あったわけやけど、
それが今日で報われた。

朝一緒に来たとき、やっと実ったんやな。って
思ったんや。

せやけど、彼女はどうもそういう気はあらへん気がしてならん。
発言から推測しただけやからハズレとる可能性も十分ある。

白石にいうてみよか・・・。


4限目が終わり、昼食の時間。

「白石、」

「何や?」

「一緒に飯、食わんか?」

「あー・・・えぇで」

目線は麻生さん。
食べたいんやろな。
せやけど、こっちも譲れへんのや。

勘違いやったときのフォローなんか、
絶対ごめんっちゅー話や!


「屋上、いこか」

「おん。」

チラッと麻生さんの方をみる。

いつもと変わらない、友達の机を合わせて
食べようとする姿。

ほらな、おかしい。
普通は少し意識してもえぇんやないんか?



**



今日はやけに女子が静かや。
穏やかなんはえぇけど、冷たい視線を送られるんは
何でなん?

あぁ!!
もうなんやねん!!

・・・!気づかれたっちゅーこと?
言うたんか、白石蔵ノ介。

最悪や。これやから男は信じれんのや。


「麻生さん、」
ほら、来よった。
強気な女子3人。

「な、なんでしょう?」

まだ猫被っとるんか、自分。

みたいなことを言われるんやろか・・・?

「ホンマに白石くんと付き合うてるん?!」

「(そっちかいΣ)う、うん。放課後、部活が終わるまで
待ってから帰る約束してんねん。」

「あ・・・そう、なんや・・・」

「?」

ぐったりして席に戻る強気な3人。
強気はどないしてん。

ま、まぁバレてないようやんな。




―――ホンマに守る気なんやろか。



*謙也side*

「白石、どんな告白してん。」

「いきなりかいな。」

「えぇやろ。」

「んー・・・付き合うてくれへん?って。・・・////」

「赤面すな!・・・ちゅーか、アカンな。」

俺が思った通りや。
白石の「付き合うてくれ」は「彼氏彼女として」
やけど、俺が思うに
麻生さんからした「付き合うてくれ」は「どこまで?」
という買い物気分として扱われてんのや。


「麻生さんどんな反応してん?」

「それだけ?・・・て。」


ビンゴや。
俺の推測通りやな。

「やっぱりやんな」

「さっきからなんやねん!」

「・・・あんな、白石。俺の推測やけどな?」

白石に俺の考える全てを話した。



**

またもや、黄色い歓声。
ライブ?ちゃいます、テニスコートです。

なんやねん!ホンマにライブか!!


えー・・・初めて放課後のテニスコートにきた
私です。

放課後に残るのは夜に何も予定がない極わずかな時間に
教室で勉強するだけやった。


はぁー・・・、退屈。
本でも借りてこよ。

退屈さに負けた私は図書室へ向かった。


「う〜ん・・・どれにしよ・・・」

図書室に来たんはえぇけど読みたいものが
あらへん私には難しい選択だった。

「もう閉めますけど。」

図書委員の人から声がかかる。
制服をみると、中等部の人やった。

「あぁ!ごめんなさい!えー・・・っと、」

「オススメはコレです、」

「え?」

差し出してきたのは今月のオススメ本。

「結構、オモロイっすわ」

「・・・借ります、それ。」

「まいど」

「ハハッ、まいどて。・・・ざい、ぜん・・・ひかり・・?」

「は?ちゃうわ、ひかるや。漢字の本の方が
えぇのやないですか?」

「失礼やなー!」

名札を見ていたら、いつの間にか口に出していた。
加えてバカにされるて・・・。

どうぞ、といって借りる準備が整い、
本を渡してくれた。

「おおきに、ひかるくん」
嫌味ったらしく言ってみた。

「いーえ、それじゃ閉めますよ」
スルーかいな!

ほな、と挨拶してテニスコートへ戻ろうとした。
すると、「あの」と声がかかり、腕をつかまれる。

「何?」

「感想、教えてください。その本の。」

「了解、考えとくね。」

少し微笑んでそういうと、腕を離してくれた。


部活が終わるまで1時間、か。
少しは楽しめそうやね。

本をもっていた手を少し締めて
テニスコートへ歩き出した。
 

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