☆敏感彼氏と鈍感彼女☆

□#4
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*白石side*

・・・謙也から昼休みに聞いた事。

アバウトにいうと、
「付き合う」という意味が俺と麻生さんの間で
行き違うてることや。


・・・ホンマかいな。


半信半疑やった俺も時間が経つたびに
その行き違いの可能性が高まってく。


帰りにでも聞いてみよか。


せやけど、もし・・・


あぁー!
アカンわ。そんなことばっかり考えとったら
ネガティブになるだけや。

今は部活に集中や。

フェンスの外を見渡すと、木の下に麻生さんがおった。


・・・!!

「きばってくでー!!」

「うお、なんやねん白石。突然声張り上げるなや」

「すまんな、せやけどやる気は十分出てきたでー!」


かっこいい姿、みせたる。


「ん〜っ絶頂ーっ!」

どや!麻生さ、

「居らへんー・・・」

「喜怒哀楽が激しすぎやねん、白石。うっといで、」

せやかて。
せっかく好きな子が見てくれてる思うたら
居らへんって、そりゃへこむやろ。


やっぱり、行き違うてるんか?




―――嘘でもえぇから、俺の彼女っていうてや?





「ほな、解散ー!」

「さいならー」


おっしゃ、麻生さんが待ってるとこまで
全力疾走や!


「麻生さん!」

「・・・あ、終わったんやね」

「待っててもろて堪忍な?」

「えぇよ、本読んでたから退屈やなかったし」


本読んでた=俺のこと見てへん

ちゅーことやんな。
地味にへこむで、それ。

「帰ろか、」

「せやね。って、え?」

「え?って何?」

帰ろうと告げ、歩き出すと麻生さんが
止まり、驚いた様子でこっちを見る。


「どっか寄らへんの?」

どっか寄らへんの、って・・・。
デートっちゅーこと?!

「・・・もう暗なるけど、麻生さんがえぇんなら
俺は何時でも、」

「7時までなら平気やで」

現時刻は5時45分。

まだ時間はある。

「ほな、たこやきでも食べてく?」

「えぇね、それ」

といって微笑む麻生さん。

むっちゃ可愛えぇ・・・・!!


「ほな、いこか!」

夕日に照らされて、影が横に並ぶ。


**



たこやき、やっぱ関西人やからね。
好きやねん。めっちゃ好き。

ちゅーか、白石くんはありのまま、ん?
自由に?まぁ、いつも通りのままエスコートしてくれとる。


せや!まずなんで私に付き合って欲しかったんやろか?
あれだけキャーキャー言われてれば
誘えばすぐに女子はついていくような気がするんやけど。


男ってやっぱ分からんわ。
分かりたくもないけど。

「ついたで、」

「ここ・・・、」

「ん?あぁ、知とった?」

「ううん、知らへんかった!」

食べてみるとめっちゃおいしいかった。
間違いなくベスト3には入るおいしさやった。

教えてくれておおきに、と伝えると
どういたしましてと返ってきた。

それはそれは、穏やかな微笑で。

「麻生さん、あんな確認したいことが、」

purrrrrrr

私の携帯や。

「ごめんな、ちょお待ってて、」

「気にせんでえぇよ」

私の携帯は2つある。

一つは普通に友達とのやり取りで使う携帯。



もう一つは―――


「今から会えへん?」



お誘い用の携帯。



「7時半て言うたやんか、」

「堪忍、我慢でけへんねん」

1万プラスでどや?と誘い文句。

「・・・っ・・今から向かうからプラスしてや」

誘い文句と分かっていながらも
行く私はアホや。


「おおきに。252号室な」

「わかった。」

お金には勝てない。
人一倍、その欲がある。


「ごめんな、急に。」
戻ってからまず一つ、謝る。

「あと、今日もぅ解散でもえぇ?」

「え?あ、さっきの親からやった?」

「いや、ちゃうけど。用が早まってもうて・・・」

「せやったんか。ほな、家まで送るで」

座っていた白石くんが立ち上がりかばんを
肩に掛ける。

家に帰るわけとちゃうんやけど。

「えーっと・・・。」

バレてるから、別に隠す必要はないんやろうけど。
今日バレてまたその日にやるって
学習せぇへんなって話になるやんか。

せやから、言い出しずらいっちゅーか・・・

「・・・ホテル?」

ピクッと体が反応してしもた。
声が出ず、コクンと頷いてみせる。

「なんでなん?」

さっき聞いていた高い、明るい声色とちゃうかった。
低く、そして暗い声色。

「俺がおってもアカンの?」

・・・え?
白石くんと・・・


って!
アカン、アカン!!

「アカンよ。白石くんは、純粋にめっちゃ好きな子と!!
・・・って何言うてんやろ・・・。」

何を熱弁したんだ、私。
ハズイわ。

「・・・はぁ。」

ため息?
ちゅーか、あからさまに深すぎる。

「行き違いと判断するで?」

「行き違い?」
首をかしげると、白石くんに手をつかまれ
人気のないとろへ入った。



*白石side*

「アカンでしょ。白石くんは、純粋にめっちゃ好きな子と!!」

この言葉の意味。
それは、麻生さんが俺のことを彼氏と見てないっちゅーことや。

俺の好きな子は麻生さんや。


人気のないところへ入り、わけを話す。

「朝の「付き合うて」って意味、なんやと思うたん?」

「え?買い物やないん?」

・・・・謙也、おめでとう。
お前の推測は100%当たりや。

残念ながら俺は撃沈や。

「ちゃう。俺と一生一緒にいてちゅー意味。」

「・・・それ、朝の状況みてよう言うたね。」

「好きやってん、中学ん頃から、ずっと。」

「・・・ごめんなさい。勘違いしてしもうて。」

「それと、」そうつないだ言葉は俺がもっとも
恐れた言葉やった。



(白石くんの彼女にはなれへん)




ごめんなさい、また一つつぶやくようにして
麻生さんはホテル街へ行こうとするその手を握る。

「せやったら、麻生さんのために俺の全て渡す。
快感やって今までにないくらい味あわせたる。」

俺は何がしたいんやろ。
純粋に恋がしたい、愛したい。

そんなんやない。
彼女を独占したいと思うことしか頭になかったんや。


「いらへんよ、快感を求めてるんとちゃうねん。
求めてるんは金やねん。ヤってる時、ホンマは吐き気がすんねん」

ハハ・・・と無理に、はにかむように笑う。


せやったら。

「約束、どないすんねん」

「バラしてえぇよ。」

「一生をあげるくらいなら一時をあげたほうがましやねん」

これが、麻生さんの本心・・・なんやろか?


ただ、麻生さんの手を握る俺を前に麻生さんはまた口を開いた。

「ホンマ、こんなことしてなかったらね・・・アホやわ、自分」

こっちが、本心や。
俺はそう思う。


「ホンマに、ごめん・・・」

そういった麻生さんの苦しい表情を見て一瞬力が抜け、
それを見逃さなかった麻生さんは俺の手を振り解いて、
ホテル街へ入っていった。


何かしら理由があんねや。
金を稼がなアカン理由。





突き止めたる・・・!

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