☆敏感彼氏と鈍感彼女☆

□#5
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翌日、私はいつも通りに学校へ行った。
もちろん、約束は無しになったから
白石くんとは登校するときも
これから帰るときも一緒やあらへん。

いつも通りやないというなら
腰が異常に痛い。

女の子の日。
この一週間はお誘いの電話は鳴らん。

逆を返すと、この一週間は稼げへん。
・・・無駄な一週間の始まりや。

「千亜、おはよーさん!」
「うー・・・」

お腹も腰も痛くてどうしようもあらん
この状況。

「生理?」と秋穂ちゃんに耳打ちされ
とりあえず唸る。

仕方なく、1限目の授業は保健室で
休むことにした。

ふらつきながら歩く私を心配して秋穂ちゃんと紗江利ちゃんが
付き添うというてくれるが、授業あるんやから、といって断った。

そんな時、一声かかった。



「俺が連れてく。」



「謙也、保健委員やって言うといて」

「了解、」



昨日、バラしてえぇって言うて、
最後には手を振り払って逃げるようにしてホテル街へ向かった私。


それやのに、

なして、そない優しくすんねん。



フッと視界が歪み、意識を手放した―――



*白石side*

「麻生さん、・・・・麻生さん!?」


連れてくと言うた直後、麻生さんはその場で
倒れこんだ。

声を掛けるが、返答はない。
焦った俺は麻生さんを保健室へ一目散に運んだ。


保健室には先生がおって、俺はベットに麻生さんを
寝かせた。


大丈夫やろか・・・?



「大丈夫やって。寝顔、見てみぃ?」

そう言われ麻生さんを見ると、

「笑うてる・・・?」


「せやろ?安心して、教室に戻り?」


そう促され、俺は大人しく教室へ戻ることにした。




「意外と早いな。」

教室に戻って謙也からの第一声。

「先生に追い出されてん」

「そうやったんや」

「あ、謙也。」
そうや、一応言うとこ。

「なんやー?」

「お前の推測100%当たりやったで、おめでとう」

「せやろ、まぁ、当たるわけないやんなぁ・・・・
ってえぇ?!」

「なんやねん、キレの悪いツッコミやな」

「ほっとけ。ちゅーか、ホンマに当たったんか!?」

「ホンマや、大当たりやで。」

正直、推測通りで驚いたわ。
浮かれすぎやってんやな、俺。

謙也でも気づいたことを
聖書の俺が気づかんことがあるやなんて
一生の不覚やで、これ。

「で?麻生さんはどないしてん。」



(白石くんの彼女にはなれへん)



俺が一番、聴きたない言葉。
そして、恐れた言葉。


「俺の彼女にはなれへんて。


せやけど、諦めへんで。」



「さよか。応援、してんで」

「おおきに、」



さあ、情報収集開始や。



**


「んぅ〜・・・?」

「起きた?」

「え?・・・あ、保健室や」

「白石くんが運んでくれてたんやでー」

ホンマ、どこまで優しくすんねん。
人が良いにもほどがあるやろ。

「今、痛いとこある?」

「・・・直ったみたいです、」

「良かったわ、白石くんにお礼言うときや?」

「はーい」


休んだおかげで腰痛と腹痛が治って
晴れていつも通りに活動!


の前に、お礼や、お礼。
またお願いとかされてもシャレにならんけど。
ちゅーか、見返り求めるんもおかしい話や・・・。
こっちは頼んでないんやし。


はぁ、とため息をつき保健室を出て教室へ向かう。


「お、復活?」

「おかげさんで♪v」

教室へ戻ると、昼食の準備中。
4限目まで寝てたんか、自分。

えーっと・・・

教室を見渡しても白石くんの姿がない。


「ねぇ、白石くんは?」

「職員室やったと思うで。呼び出されっとったし」

「そうなんや、ほないってくるね」

「なんや、愛のお礼ー?」

あ、行き違いやったって言うん忘れてた。
あー・・・せやけど、コレをどう説明したらえぇんやろか。

「・・・いってきまーす」

半ば逃げたようなカンジで走り去った。



向かう先は職員室。





あ。白石くん発見!
ってそないな気分とちゃうわ。

白石くんとは「行き違いやった」っちゅーことで
気まずい最中や。

それやのに、白石くんがあたしに対する行動。
おかしいことだらけやねん。

あんなに冷たくあしらわれたら
普通、嫌になるやろ。
仮に好きな人やったとしても。


・・・・ホンマ、調子狂うわ。



「、麻生さん?」

アカン、先に気づかれてしもた。
私が先に声を掛けてお礼をいって颯爽と去っていく
計画が丸つぶれやんかー・・・。

「あ、えと・・・さっき、運んでくれておおきに。」

俯く私。
どんな表情してるかなんて、想像できひん。

したくあらへん。

「わざわざそれ言いにきてくれたん?」

高く、明るい、声。
思わず、ふと顔を上げて顔を見た。

目が合い、また俯く。
一応、コクンとうなずく。

なんやねん。私は乙女かっ!


「おおきに。ほな、教室まで一緒にいこか」

そういうと、白石くんが私の隣を歩く。


・・・もし、この人がまだ私を好きだとして、
私もこの人が好きだとして、

それで、私が普通の女子高生やったら
付き合ってたんやろうか。


・・・それとも、今のままの私を好きだとして、
付き合うとしたら・・・



アカンわ、この人は私にはもったいない。


バチ当たるわ。

せやけど、振る時点で私はこの人を傷つけてるんや。
わかってる。


ごめん、ごめんね。

手を振り払ったときは確かに嫌われてえぇと思った。
当然やって。

せやけど、こうやって前と同じように
優しく接してくれとる白石くんに
今は、嫌われたないと思った。


勝手でホンマごめん。






・・・いつか、私やない他の人と白石くんに





―――幸せが訪れること願ってんで






*白石side*

オサムちゃんに呼ばれ職員室にきた。
内容は、東京の学校との練習試合。

「放課後の部活んときにでもみんなに言うといてや〜」

それだけ言うとオサムちゃんは早々と職員室から
出ていきよった。

意外と忙しいんやな・・・。


感心した俺の目に映ったのは、



「、麻生さん?」


疑問系で言うたけど、ホンマはわかってるんや。
見間違えるわけないやろ。
仮にも彼女やった子やで?

俺は今でも好きやけど。

女々しいヤツやな、って思われても構わん。
好きやねん。

そんな子がホテルで遊んでたとしても
えぇねん。

俺が、直したる。
俺が、支えたる。




それでも、君には届かへんの?
 

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