☆敏感彼氏と鈍感彼女☆

□#7
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「あの、ここだといろいろ言いづらいんで
どっか行きません?」

「そやな。」

麻生さん家の前やと親とかが帰ったとき
気まずくなるのは目にみえている。

「ファミレスとかでえぇですか?」


「えぇよ。せやけど、時間平気なん?」

「あ、時間・・・、あの夜の9時にファミレスでも
大丈夫ですか?」

「え、9時?!まぁ、俺は平気やけど・・・」

「では、またお願いします。」

「あ、あぁ。」

・・・・夜行性なんやな。

そう思うことにしよ。
ツっこんどったらきりないわ。


俺は一旦家に帰って支度をすることにした。





「ただいまー・・・」

「おかえり、くーちゃん!」

俺が帰ると妹しかリビングにいなかった。

「あれ、友香里しか居らんの?」

「オトンは仕事、オカンは洗濯物、お姉は彼氏んとこ、
エクスタちゃんは散歩」

「了解、」

といって制服をハンガーに掛ける。

「お風呂?・・・まだ早ない?」

「ちゃう。出かけんねん。」

「夜に?」

「おん。」

ふーん?と返される。
めっちゃニンマリしとる。

「彼女ちゃうで」

一応、言われる前に言っておく。

「なんや、つまらんー・・・」

ブー!と頬を膨らませる友香里。
お前が面白がるネタは今ないっちゃーねん。


「あ、おかえり」
洗濯物を持ったオカンが二階から
降りてきた。

「ただいま、今日出かけてくるな。」

「え!?彼女?」

「ちゃうわ!」

ホンマ、家族やな。
つくづく思うで・・・。





「ほな、いってくるわ」
時計は8:50を示している。

「いってらっしゃーい」

まぁ、5分もあればつく。

目的地が見えたと同時に麻生さんJr.の
姿も見えた。

外で待ってたん・・・?

急いで何メートルかを走り出した。

「すまん、・・・内にいればよかったんに」

「大丈夫です。ほな入りましょか」

そういうと、店員に2人といって
席に案内された。


「えっとー・・・まず頼んでえぇですか?」

「あ、何も食べてないん?」

「・・・はい」

「じゃあ、俺も飲み物頼むわ」

頼んだものが来て落ち着いたところで
話始めた。


「・・・時間、何時まで平気ですか?」

やけに時間にせっかちやなって疑問を持った。
その疑問に気づいたのか、

”時間次第で話す内容も変わるので・・・”

つまり、あと1時間といったらその1時間で終わる内容を、
あと2時間といったらその2時間で終わる内容を。

ということやろか。

「時間は気にせんでえぇから。せやから全て教えてほしい。」

そう、時間はあらへん。
内容やねん。


「そうですか。」

「どこから話せば・・・」

「・・・夏休み」

俺がそういうと、ハッとして目を見開く。

「なんや、知ってるやないですか」

「親との仲がうまくいってへんてだけ聞いた。」

「まぁ・・・」

「でも、それだけやないんやろ?」

コクン、とうなずく。




―――やっぱりそうやんな




「聞かせてや?」

そういうと、ゆっくり麻生さんJr.は
口を開いた。




**


思い出したくない記憶がよみがえってきた・・・



私が変わるきっかけになった出来事―――



せみの声が鳴り響き、
太陽がギンギンに地を照らし、
人の汗が滴るような季節。

私の親は再婚した。
そして、新しいお父さんとなる人が前の妻と作ったであろう
息子を連れてきた。


私はその息子に




犯された―――
 

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