昔≠今

□出会い
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咲希は今、仕事の都合上、イタリアのどこかに来ていた。

『ここ、どこ…?』

どこかと言ったのは正確にここがどこかわからないから。
いわゆる、迷子だ。(でもそう言わないのは最後の意地)


目の前には大きなお城があった。
見覚えのあるそのお城に咲希は首をかしげた。
けれどそれがなにかは思い出せない。

暫くじーっと見ていると人がいるのに気づいた。
じっとしていても何も変わらないので、とりあえず話しかけることにした。

『あのー!!』
「ん?てめぇ…不審者か?」
『なっ…違いますよ!!』

話しかけてから気づいたが日本語が通じている。

日本人、なのだろうか?
けれどそうは見えない。

(考えても仕方がないか。私には関係ないし)

そのことはひとまずおいておくことにした。
そうしたら徐々に怒りがわいてきた。
話しかけただけなのに不審者扱いされたことに。
咲希はその人を睨みつけた。

「…、話は中で聞くぜ?」
『え?』

黒い帽子をかぶって黒いスーツを着た男性は怪しく笑い、城の門を開けた。
普通睨んだ人を中に招くだろうか。

何故か嫌な予感がして、身震いをした。



古い扉を開けたような音を立てながら、門は開いた。
咲希はその男性のあとについていくことにした。

中に入ると外から見るよりとても広かった。
庭もちゃんと手入れされているようで、綺麗だった。

「お前の名は?」
『山村咲希です。あなたは?てゆうか、ここはどこですか?』
「俺はリボーン。知らなかったのか?ここはボンゴレ本部だ。」




(………ボンゴレ?)

咲希の頭にはパスタしか思い付かなかった。

「ちげぇぞ」

傍らから声がし、見上げるとリボーンと目が合った。

「ボンゴレ本部ってのは、マフィアの頂点に君臨するボンゴレファミリーの本部だ」

(…マフィア、か)

少し懐かしい言葉に頭がズキリと痛んだ。

『じゃあ銃とか持っているんですか?』

普通の人ならきっと叫びながら驚くのだろうが、咲希はぜんぜん驚かなかった。
それどころか、少し目が輝いている。
咲希の反応が予想外だったのか、少し目を見開いた。

「…あぁ」

そう言って銃を取り出した。

『かっこいいなぁー…』

ふとひとつの疑問が浮かんだ。

『私、言葉に出してませんよね?』

咲希は確かに言葉に出していないのに、リボーンはボンゴレの説明をしてくれた。

「それは読心術だ。」
『…それってプライバシーのs「あ゙?」…なんでもありません』

いきなり不機嫌そうな顔をし、銃口をこめかみに当ててきた。
そんなことで殺されちゃたまらない。

『えっと…』

とりあえず話題を変えたくて隣を見た。

『お花が綺麗で…す……』

そう言ってから目を疑った。

紫色のパイナップルが黄色のパイナップルに水をあげている。
気のせいだと思い反対を見ると黒髪でつり目の恐そうな人が鳥に話しかけていた。

『ごめんなさい、何でもないです』

とりあえず見なかったことにした。


「いい判断だ」
『…ありがとうございます』
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