昔≠今

□そして
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真夜中のヴァリアー本部。
静かな部屋に時計の音が響く。
0時の鐘が鳴ったとき、誰かの足音が聞こえた。

『…よし、帰ろう』

今日はここに来てから八日目。
(あ、手抜きって言ったやつ誰だ)
咲希はヴァリアー本部の外にいた。
みんなに引き止められ、軽く逃げながらも出てきたのだ。
走りだそうとしたら、スクアーロがいた。
……スクアーロも引き止めるの?
むしろ止めてくれるの?
でも違うようだ。
だって武器構えてないし。
でもスクアーロの手には匣があった。

『何それ?』
「これは匣<ボックス>だ。ほら、お前のやつ」

スクはポケットから匣を2つ取りだすと、咲希に投げた。
うまくキャッチして匣を見る。
黒色の匣と白色の匣だ。

『ただの匣じゃねぇか…』
「穴があるだろ、リングに炎を灯してそん中に入れろ」

とりあえず白色のほうの匣にしてみよう。
仕事モードを解き、言われた通りにすると。
馬に翼が生えてるやつ、つまりペガサスが出てきた。

『ペガサスだー…。ってなんでスッくんが私のを持ってんの?』

光と闇の匣などめったにないだろう。

「お前の部屋にあったんだ」
『私の部屋に?』
「…覚えてねぇか?」

いや、覚えている。
突然未来からきたと言う血だらけの人が、私と姫歌に渡したのだ。
九代目は危険物とし、金庫の中に厳重にしまったのだ。

『でもこれ、本部にあるんじゃ…』
「XANXUSなら大丈夫って九代目が預けたんだよ」

それなら納得できる。
あの頃の兄貴は強かったしね。
…いや、今も強いか。

『わざわざこれを?』
「あぁ。じゃあな」
『ありがとー、バイバーイ』

咲希はどうせならと思い、ペガサスに乗ってみた。
すると、ペガサスはいななき、羽ばたいて空へ飛んだ。

「馬っ鹿!!戦闘以外でそいつを使うな!!」
『えー…?』
「えーじゃない!!早く降りてきやがれ!!」

なんとなく理由はわかった。
人目につくからだろう。
でもさ、深夜だし一応トーン落として。
とりあえず歩いて帰ることになったが。

「ハァ…、俺も行くぜ」
『なんでだよ!!』

スクアーロもついてくることになった。
一人だと迷子になりかねないなんて言ったら切れるよな。
なんて思っていることなど咲希は知るわけがない。
スクはため息をつき、咲希の隣で歩き始めた。

『ため息つくくらいなら来なけりゃいいじゃん』

と声がしたがあえて無視する。

「……咲希、こっちだぞ」
『え、あれ?』
 
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