□寂しがり屋の唄人形
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[VOCALOID]と言う物をご存知だろうか?
それはボーカル・アンドロイドと呼ばれる音楽ソフト。
人間の形をモデルにした歌声を造るためのソフトウェア。
歌を歌い、人々に想いを伝える為に造られた人造人間。
その[VOCALOID]を代表するのは、緑色の少女、初音ミクを筆頭に双子の鏡音リン・レン。
ピンク色の巡音ルカ、青のKAITO、赤のMEIKOと様々。
でも「僕」はそのどれにも当てはまらない。
歪んだ歌声、存在しない筈の「僕」…
僕は初音ミクから派生した亜種と呼ばれるVOCALOID。
ごくたまに、ソフトウェアのバグによって「僕」のような亜種が生まれる。
必要とされない「僕」はいらないと言われて棄てられる…アンインストールされる筈だった…
でもマスターは僕を棄てなかった。
こんな僕を…ただ何も言わず、手を差し伸べて側に置いてくれたんだ…










時計の短い針が11を差し、長い針が12を差した頃。
先程から外からはしとしとと雨の降る音が聞こえてくる。
マスターは傘を持っていっていただろうか?
そんな事を思いつつ、部屋の隅っこでひたすらマスターの帰りを待つ。
そんな時、防犯対策に流していたテレビ番組に聞き覚えのある声が耳に入り、僕はゆっくりと顔を上げた。

「……ますたー…」

僕のマスターの名前は平和島幽。
今をときめくスーパアイドルという奴で、映画だドラマだゴールデン番組だと引っ張りだこ。
いつも僕と居るときとは違うマスターがテレビに映る。
僕はリモコンを手に取り、テレビを消した。
別にテレビに出ているマスターが嫌な訳ではない。
寧ろ自分のマスターが活躍するのはとても喜ばしいし、誇りに思う。
でもそれと同時に寂しいのと、マスターが遠い人になっていくようで悲しくなる。
小さく溜め息をついてソファーに腰掛けクッションを抱き寄せた。

「…マスター、早く帰ってきて……」










寂しがり屋の唄人形




(…ただいま)
(!、お帰りなさい、マスター。
雨が降ってましたけど濡れませんでしたか?)
(タクシーで帰ってきたから)
(そうですか、あ、お風呂沸いてますよ)
(うん)
end...
―――――――――――
や っ ち ま っ た … !!!! w
だが後悔はしていない←←
次はちゃんと幽を絡ませたい…

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