□暁の衝動
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満月の夜は…
酷く喉が渇く。

「はっ…!」

上手く呼吸できずに熱い息を吐き出す。
渇いて渇いて仕方ない喉に爪を立てた。
欲しくて欲しくて仕方がない。
あの赤くて甘い…

「ぐっ、ぅ…」

白い喉に噛み付いて思う存分流れる赤い血を啜ってやりたい。
何度頭の中でアイツを汚し、何度そんな自分を嫌悪しただろうか。
失いたくない、でも壊したい。
理性と本能がせめぎ合う。

「あ…ぁあっ、ひ…じか…」
「……いい様だなぁ、銀時」
「ッ!」

壊したくて失いたくない彼の名前が口から出た瞬間、背後から聞こえた聞き慣れた低い声にビクリッと肩が跳ねた。
スッと頭が冷えて理性が戻ってくる。

「…っ、たか…すぎ……」
「テメェまた薬飲まなかっただろ」

舐めてんだろテメェ、あぁ?とドスのきいた声で睨みをきかせるのは馴染みの医者である高杉晋助。
コイツのいう薬というのは今のような衝動を抑える為の鎮静剤のようなもので高杉が作った俺専用の薬だ。

「おい銀時。聞いてんのか」
「ぅ、っせ…ンなもんとっくに……くっ、…」

言葉が続かずうずくまる。
高杉はめんどくさそうに煙草の煙を吐くと携帯用灰皿にそれを無造作に押し付けた。
そして緩んでいたネクタイを解き、自身のシャツをずらす。

「銀時」
「ぐ…ッ」

髪の毛を掴まれ無理やり顔を上げさせられる。
すると視界には白い首筋が入った。

「…いつから喰ってねェ?死にたいのか」
「……………」

耳が痛い言葉に返す言葉が見つからず黙り込む。
そんな俺に高杉はチッと舌打ちするとグッと自身の首筋に押し付けた。

「…お前を死なせる訳にはいかねェんだよ」
「……………………」
「早くしろ。痕は付けんなよバカ狼がうっせぇからな」
「……ッ悪ぃ…」

疲れたように言った高杉に小さく謝罪する。
襲ってくる衝動に耐えられず、俺は高杉の首筋に食らいついた。





「ほらよ」
「……あぁ」

ぶっきらぼうに差し出された白い紙袋を受け取った。
中に入っているのは無くなった鎮静剤。
ちらりと高杉を見ると首には白い包帯。

「高杉…」
「あァ?」
「……いつも悪いな…」

名前を呼ぶと不機嫌そうな声が返された。
それに眉を寄せながら謝罪を告げると、一瞬隻眼が見開く。
しかしすぐに不機嫌丸出しの表情に戻り、舌打ちが聞こえた。

「…そう思うならさっさとアイツ喰っちまえ」
「……………………」
「いつまでもうじうじしてるテメェのお陰でとばっちりがくるんだよ」

さっさとどうにかしろ。と捨て台詞を吐いて出て行った高杉を見送り、深く溜め息をついた。

「……それが出来てりゃ苦労してねぇってんだよ…」

月を見上げながら絞り出すように呟いた言葉は誰に聞かれる事もなく闇に溶けた。










暁の衝動




end...
―――――――――――
いつか友人雪白ちゃんが妄想していた土銀を拝借。
さらに妄想を膨らませて高杉をぷらす。
ストーリー的には吸血鬼銀ちゃんが土方に焦がれて発作が起きるのを見かねた主治医高杉がなんとかする…
なんですが伝わりますかね…?
簡単にいうと土方←←←銀ちゃんで+高杉
……で、いいんだよね?←←
もしかしたら続くかも

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