□気付いてマイレディ
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この男はいつもいつも、一体何がしたいんだ…!!?
筧駿 16才 191cm、巨深ポセイドン ラインバッカーの彼女は心の中で大きく叫んだ。

「筧くんどうかした?オレの顔になにか付いてる?」
「いや、何でもねぇよ…」

筧は疲れたようににこにこ笑みを浮かべながら何食わぬ顔で自分の目の前で食事を取る彼に返した。
大和猛 16才 190cm、帝黒アレキサンダース ランニングバック。
かつてノートルダムで背番号21を掲げ、アイシールド21と呼ばれた男。
筧がずっと追い求めていた人物だ。

「はぁ…」

筧は鷹と談笑する大和に気付かれぬように溜め息をついた。
それは大和の筧に対しての態度にあった。

「あれ?筧くんどこに行くの?」

立ち上がった筧にどうしたのかと首を傾げながら声をかけたセナ。
そんな彼に先に部屋に戻るという有無を伝えると向かいの席からカタン、と椅子が引かれる音がした。
筧は"やっぱりか"と心中で溜め息をつく。

「部屋に戻るなら送るよ、筧くん」
「いや、一人で…」
「さ、行こうか!」

断ろうとした筧の言葉を最後まで聞かずに大和は彼女の手を取り歩き始める。
手を引かれながら大和をどうにかしてくれと背後にいるセナや鷹に視線で訴えてみるものの、セナには困った笑顔で返され、鷹には手を振られるばかり。
薄情とも思える彼らの応対に筧は肩を落とした。
そんな筧に気付いているのか気付いていないのか、大和は今にも鼻歌を歌いそうな笑みを浮かべ歩いている。
彼の行動にどういった意図があるのか全く読めない筧は困惑するばかりだ。

「………………………」
「筧くん?」

いつの間にか部屋の前に着いていたのか、立ち止まった大和に声をかけられ筧は我に返った。
大和と顔をあわせると彼はにこりと微笑む。
タイミングがいい事に今は二人きりだ。
問い質している最中に他の連中に邪魔される事はない。
意を決して彼女はゆっくりと口を開いた。

「……一体、どいいうつもりなんだ」
「ん?」

惚けたような笑顔に筧は苛立つ。
この際、自分が納得するまで大和に聞こうと決めた筧は今までの疑問に思っていた事、不自然に感じていた行動を吐き出した。
筧の言葉を聞き終えた大和は困ったように笑う。

「どういうつもり、か…
オレは筧くんに対しての気持ちをありのまま行動にしてるだけだよ」
「なんだよそれ…
お前、オレをバカにしてんのか?」

キツく睨み付けると大和はまさか!と手を左右に振った。
そして少し考える素振りをした後、そっと筧の手を取った。
筧はこの行動の意図が読めず、眉を寄せた。
大和はそんな彼女の表情に苦笑いを零す。

「オレはね、筧くん」
「……なんだよ」
「鷹呆れるくらい、わかりやすい行動を取ってたんだ」
「………?」
「でも、それでも君が気付かないのなら…」

"実力行使も仕方ないだろう?"
そう耳元で聞こえたと思った瞬間、唇に温もりが触れ、筧は目を見開いた。
とっさに大和を突き飛ばし紅くなった顔を隠すように手の甲で唇を拭う。
言葉が出ずに大和を睨み付ける筧に彼は微笑んだ。

「どうかな?少しはわかってくれた?オレの気持ち」
「………寧ろ更にわからなくなった…」
「そうかい?残念だよ」










気付いてマイレディ




(大和猛、コイツは本当に何がしたいんだ…!!!)
(筧駿…わかっていたけれど手強いな)
end...
―――――――――――
大和は絶対レディファーストだと思うと妄想して出来上がったもの。
不完全燃焼だから続き書きたいなぁ。

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