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□I want to see your eyes !!
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「たっ、頼む!助けて…」

目の前で縋りつく男。
俺がお前なんかの言うこと聞くかってーの。


「やーだ」

ししっ、と笑いとどめをさす。
返り血が顔やジャケットにはねる。


「任務しゅーりょーっ!」

身を翻し、ヴァリアー城まで足を進める。
いつの間にか外は真っ暗。


(帰ったらシャワー入って、ケーキ食って…)

なんて考えながら城の扉を開ける。

そのまま自分の部屋まで行き、シャワーに入る。
返り血が流され、さっぱりした。


(ケーキ食おう)

キッチンまで行き、飲み物とケーキを冷蔵庫から取り出す。
談話室に行き、ソファに寄りかかってケーキを食べる。

(うめー。明日もルッスにケーキ作ってもらお。)

カチャ、と小さな音がして扉が開いた。


「カエル?どーしたよ、こんな夜中に。
お前今日任務ねーだろ?」

ひょこ、と顔を出したカエルに尋ねる。


「はいー。扉開く音したんでベルセンパイかなーって思ってきたんですー。」

当たりましたー、なんて言うカエル。


「ふーん。何か用でもあんのかよ。」

「はいー。実はセンパイにお願いがありますー。」

「お願い?俺に?」

「目、みせてくださーい」


両手を差し出し、キラキラした目で見てくるカエル。


「絶対やだ。ふざけんな、死ねカエル」

「いーじゃないですかー。」

「ぜってーやだ。」

ム、としたまま黙るカエル。

(…何か嫌な予感する。)
足を床につけ、ナイフを握る。


「いーですー、力づくで見ますからー。」

(やっぱりな!)

「ぜってー無理だしっ。」

ナイフを投げ、走って談話室から飛び出す。


「まってくださーい」

すぐに追いかけてくるフランに若干の恐怖を覚える。

そのまま一時間ぐらい城内をかけまわったが、フランはずっと追いかけてくる。


「いーかげん諦めろよっ!」

「いやでーす。目、見たいんでー」


(も、ほんと無理なんだけど。任務帰りで疲れてなけりゃな…っ!)

ゼェ、と荒い息が口から漏れる。
任務帰りなのに全速力で一時間も走り回れた俺を褒めてほしいぐらいだ。


「埒があかないですねー…」

なんて後ろから声が聞こえた。
瞬間。
足元にロープが出現した。
そのまま足に巻きつこうとしてくる。

(幻術…っ!)

普段の俺だったら飛んで避けたが、疲れ果てている今は無理だった。


ロープに足をぐるぐる巻きにされ、前に転ぶ。


「ってー…。カエルっ!ふざけんなっ!はなせ!」

追いついてきたフランを睨む。


「良いですよー。目、見てからですがー。」

す、と前髪に手をのばされ必死に目を瞑る。


「ちょ、瞼閉じないで下さいよー。」

はぁ…という溜め息と共に顔に液体がかけられた。

「ぷぁっ!?何だ!?」

驚いた拍子に目を開けてしまう。

「あ」

「わー、すんごい綺麗な色してますねー。
 何で隠してんですか?」

「…あ、かいから。ジル思いだすし。キレるかもしれねーから。」

「あー、なるほどー。でも、すごい綺麗な色ですー。」

ニコッと笑うフラン。
少し、ほんの少しだけ嬉しかった。

でも、

「まじお前ムカつく。さっさ髪下ろせ。」

「えー、いやですよー。いっそのことピンでとめませんかー?」

「ぜってーやだ!ミンクだすぞ!」


勝手に見たお前は嫌い!




(さっきかけた液体なんだったわけ?)
(ああ、幻術ですー。)
(うわー、最悪…)

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