怪盗ボンゴレ]

□ボンゴレ]世と雲雀恭弥。
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「ねぇ。俺がボンゴレ十代目って事は九代目がいるの?」

「ああ。今イタリアのボンゴレの本部で腕を揮っている」

「その人に怪盗頼めないの?」

「言っちゃ悪いが九代目も齢がな」

「あー…ん?ちょっと待て。九代目ってもしかして俺と血が繋がってたりするの?」

「九代目はお前のじいさんだ」

「えー!??」

「あとお前知らないだろうが、父親の家光、あいつもマフィア関係で今イタリアにいるからな」

「は?だってあの人、今サウジアラビアで石油掘ってるって…」

「それは表向き、な」

「あー…そうですか…」

「つまり、お前は根っからのマフィアなんだよ」

「勘弁して下さいー!!」



ボンゴレ]世雲雀恭弥



警察署管内では先日起きた窃盗事件の話題で持ちきりだ。
大胆にも『ボンゴレ]世』と名乗る怪盗がカードまで残し、しかも何の証拠も残さずダイヤを奪い去っていった。
この事件の対策捜査本部が作られ、数名が事件担当となった。
その中でも異様な禍々しいオーラを放つ者がいる。
キャリアを積んで最短で警視にまで上り詰めた雲雀恭弥と言う男。
父も祖父も曽祖父も、つまり一家代々警察に骨を埋める屋根の元に生まれた雲雀。
若手ながらも次々と犯人逮捕に携わり、警視庁への貢献は随一。
そんな雲雀は最近苛ついていた。
その原因は言わずもがな『ボンゴレ]世』。
雲雀の神経を逆撫でするような犯行に、自ら対策メンバーに志願した。

「絶対、捕まえてやる」

意気込みはいいものの、何分証拠も手掛かりもない。
唯一残されていたカードだが、これも手掛かりになるとは言いがたい。
そんな中、

「雲雀警視!大変です!」

刑事が雲雀の前に一枚のカードを差し出した。
名刺サイズより一回り大きいだろうか、小さな紙の淵には金色のライン細工が施してある。
そしてその細工には見覚えがあった。
先ほどから手の内にあるカードと同じ細工。
そして同じようにパソコンで書かれたような規則正しい文字と列。

『明日23時『虹の涙』を頂きに参ります。怪盗ボンゴレ]世』

「へぇ…中々面白い事してくれるね、ボンゴレ]世…」

受け取ったカードを握り潰さないようにするのが精一杯な雲雀は、傍にあったゴミ箱を怒り任せに蹴飛ばした。

「至急緊急会議を行う。5分後、対策本部に集合」

「はっ!」

カードをばしっと机に叩き付けた雲雀の纏うオーラは人一人殺せそうだった。
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