BL CP

□この楽しみ
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人ってさ、趣味とか楽しみとか必要だってよく言うよな?


「うぅ………」
全くの不覚
スポーツ選手は体調の自己管理が一番大事だっつーのに、今の俺が持ってる体温計は38.4℃と表示してる
ブリッツの練習中にチームメイトから顔色を心配されて、熱を計れば案の定
モチロンその場で緊急帰省を言い渡されて今の状態
幸い、大会はついこの間終わったばっかりで練習は切羽詰まってないから、1回くらい練習を抜けても何とかいける
練習は何とかなる
けど、
「何で今日かなぁ…」
日頃からタイミングは悪いって言われてはいるけど、今日は本当に最悪だ
だって今日は…
「具合どうだ〜?」
「ジタン……悪ぃ、今日せっかく…」
今日はジタンがバイトの休みを取って、俺の祝勝会をしてくれる予定だった
久しぶりに2人で晩飯作れるからってスッゴく楽しみだったのに…
「気にすんなって。それより体治すのが一番だろ?熱計ったか?」
「本当に悪ぃ…でも熱下がって来てるから、ジタンのおかげッスね」
「んな事はねーよ…つーか本当に下がったのか?」
「えっ…おぅ…」
「嘘だな、何度だった?」
「…37ど…」
「へ〜ぇ」
俺が(既にバレバレの)嘘を言い終わらないうちに、不敵な笑みを浮かべたジタンがベッドに上がって来た
「顔色さっきと変わってない」
そう言いながら上体だけ起こしてる俺に跨がり、首に細い腕を回して体ごと寄せて来る
「ちょ、ジタン!!移るって」
「黙れ」
「はい」
まさに瞬殺
「やっぱり熱い…嘘つくなって」
「すいません……って離れないの?」
「何だよ、嫌か?」
そんな風に耳元で囁かれてはどうしようもない
無意識に自分も腕を回して、華奢な恋人の頭を撫でていた
「移っても知らないからな」
「出来るもんならやってみろ」
そう言って腕に力を込めてくる
本当に愛しい
そして俺は恋人の頭を撫で続ける
彼を抱きしめながら頭を撫でるのはもう癖になった
ギリギリ横目で顔を窺うと、気持ちよさそうに口元を綻ばせている
あぁ、やっぱり好きだ


人ってさ、趣味とか楽しみとか必要だってよく言うよな?
俺はもう
この楽しみ無しには生きられない

END

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