記念日B
□ミナト君のお誕生日
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火影様は難しい顔をして口を開いた。
「忍はいつでも冷静であれと教えただろう」
いつもなら元気よく返事ができるけど、今回ばっかりはできなかった。
頭では分かっている。
冷静にならなければ戦場では生きていけない。
それでも、俺は彼女を助けに行った。
そのことを後悔していなかった。
無言のまま火影様を見つめる。
そのまま数秒無言で見つめ合った。
終止符を打ったのは火影様だった。
大きくため息をついて瞳を伏せた。
「掟を破ったことについては、罰を受けてもらう。いいなミナト」
「はい」
そして火影様は席を立った。
俺の前まで来るとゆっくりと片手を上げた。
その手はぽんっと俺の頭に乗せられた。
びっくりして見上げると、火影様は笑っていた。
そして一言ゆっくり言った。
「よくやったなミナト」
怒られていたはずなのに、褒められた、のだろうか。
火影様を見上げると、優しく笑い返してくれた。
「お前は掟を破った。だが、お前のおかげであの子は助かった。よくやったな」
そこでやっと僕も笑顔になれた。
罰はアカデミーの先生の手伝いだった。
火影様や先生には誰にも言わないように頼んだ。
律義な彼女に、僕が罰を受けたことを知られたくなかったから。