記念日B
□紅葉狩り
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秘湯へ着いたのは幸い日が暮れる前だった。
明るいうちに入ってしまおうと、一家は温泉につかった。
「あったかいってばねー」
ナルトの言葉にクシナとミナトも笑顔になる。
「本当ね。紅葉もきれいだしさすが秘湯ね」
「疲れを癒すには最高の場所だね」
家族でまったりしていると、優しく風が吹いた。
「あっ!」
「…あら…」
「これは…」
風に乗って紅葉がいくつも湯へ入った。
「まっかだってばよ!」
「本当だ」
まるでクシナの長い赤い髪と同化したように赤が広がった。
ナルトは嬉しそうに声を上げた。
「かあちゃんきれいだってばよ!」
クシナは困ったように笑う。
はしゃぐナルトをミナトが膝に乗せた。
「ん。すごく綺麗だ。ナルト、紅葉の赤は母さんの赤だね」
それを聞いたナルトも大きく頷いた。
しかし息子は父を見上げて言った。
「でもかあちゃんの髪の方がきれいだってばよ!」
その言葉を聞いてミナトは声をたてて笑い、クシナはまた真っ赤になって黙るしかなかった。
後日、クシナはナルトを連れて火影執務室を訪れた。
執務室には、書類整理をしている火影と、次の任務へ出る準備なのか自来也と、火影に資料を渡す奈良シカクがいた。
「おぉ、クシナにナルトか」
「自来也先生。先日はありがとうございました。シカクさんもありがとうございました」
シカクは片手をあげてみせ、自来也は「かまわん」と笑うとナルトに合わせて膝をついた。
「ナルト、楽しかったか?」
ナルトは嬉しそうに満面の笑みで「うん!」頷いた。
自来也も「そうかそうか」と笑いながらナルトの頭をなでる。
そして片手に持っていた真っ赤な紅葉を自来也に見せた。
「ほう、これは見事に紅葉しとるのお」
自来也がそういうとナルトは元気よく言った。
「でもかあちゃんの赤のがきれいだってばよ!」
「え!?ナルト!?」
ナルトの突然の発言にクシナは赤くなり、自来也は一瞬目を丸くして大きな声で笑った。
「そうかそうか。クシナの髪の方が綺麗か!」
「うん!だよな!とうちゃん!」
「もちろん」
「え、あ、ちょ…!」
そう言ってにっこり笑う火影に、クシナはますます赤くなった。
それを見て自来也はさらに笑い「さすがはミナトの子じゃ!」とナルトの頭をなでた。
シカクは呆れたように苦笑いをした。
「あれは確かに間違いなく、お前の子供だなミナト」
ミナトは「だろう?」と楽しそうに笑った。
波風一家が外出していたこと知っている友人達は自来也と同じような問いをし、紅葉を片手に里を歩いていたナルトは満面の笑みで同じように返答を返した。
友人達がそろって「さすがミナトの子だ」と笑ったのは言うまでもない。
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