彼と彼女のファンタジーな展開7題

□彼は今日から女の子?
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※学パロ

























「すっごい似合ってるよ」

「きれいだね」

「ミナト君かわいい!」

「彼女にしたーい!」




おおよそ普段の学校生活をしていたら聞かない言葉が教室で飛び交っていた。

波風ミナト。

彼は木の葉学園の生徒である。

「彼」というのでお分かりかと思うが、男である。

しかし、










ひざ丈のスカート。

胸元のスカーフ。

金色の方まである長い髪。

リップを塗ったくちびる。

少し染まった頬。




男らしからぬ格好、つまりは女装していたのだ。







「むぅ…化粧ノリいいわねミナト君」

眺める女の子ほひとりが唸るように言う。

当のミナトは苦笑いを返す。

「ありがとう」

「これで演劇祭はもらったわね!」




そもそもこの女装には理由があった。

ひと月後に行われる演劇祭に出場するための衣装合わせが今日だった。

劇の内容は、男女逆転の白雪姫だった。

その白雪姫はコメディータッチかつ現代チックになっている。

そこでミナトは主人公の白雪姫を演じることとなってしまった。

なので、セーラー服を着てウィっグをつけさらに化粧をしていたのだ。

劇といえど、女装はやはり恥ずかしい。






それに、彼女が来る前にすぐにでも脱いでしまいたい。

彼女には見られたくない。

たとえ本番で見られるとしても。

そこは男のささやかなプライドだ。




「もう、いいかな?」

周りにいる女の子たちの視線を感じながら言うと、女の子達は残念そうにしつつも許可をくれた。

やっと脱げるとホッとすると、ガラリと教室のドアが開かれて、ミナトは固まった。








「……ミ、ナト…?」




赤い髪の少女もドアをあけて固まっている。

ミナトのささやかなプライドが音を立てて崩れ去った。

内心泣きたくなった。

「ねぇクシナ、かわいいでしょミナト君」

「化粧ノリもよくてね」

女の子達の言葉は半分しか耳に入らない。

クシナはミナトのそばまで来ると女装したミナトをマジマジと見る。

さっきよりもいたたまれない。

穴があったら入りたいというのはこういうことだろう。

「クシナ感想は?」

女の子の一人が聞く。

クシナはふっと笑った。

「ミナト似合ってる。かわいい」

「…ありがとう」

笑って返すが、正直嬉しくない。





好きな女の子には、カッコイイと思われたいのが男ってものだ。


早く劇が終わらないかなぁとミナトはがっくりうなだれた。











男女逆転のコメディータッチの現代チックな白雪姫って…
END 2010/11/10

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