選択式お題
□俺は意外と嫉妬深い
1ページ/1ページ
※学パロ
今日は雨が降っている。
だから昼休みになった今、普段なら屋上や中庭で昼食をとっている生徒も教室でお昼を満喫していた。
かく言う俺もその一人なんだけど、生憎生徒会の仕事を先に済ませなければならないため、皆のように楽しいお昼とはいかない。
いつもならクシナを誘って楽しいお昼なのに、残念でならない。
ただでさえクシナと話す時間が限られているのに、さらに減らされるのは俺としてはかなり由々しき事態だ。
だから
「本当に残念だよ」
クシナにそう話すと彼女は顔を真っ赤にして「早く仕事に行きなさいってばね!」と俺は教室から追い出された。
仕事が片付いたのは20分後だった。
ぐずぐずしていると、昼休みが終ってしまうので、早足に教室へ戻ると、教室では弁当を食べ終ったのだろう、クシナが友人達と談笑していた。
友人達、の中には当然のように男子も含まれている。
男勝りと評されるクシナは当然のように男友達が多い。
そしてそんなクシナを狙ってる男子も結構いたりする。
だからその光景も珍しいものではなかった。
けれど、昼休みに仕事をしていていつもよりクシナと話せなかったせいか、なんだかもやもやするというかイライラするというか。
それが嫉妬だとわかってはいるけれど、残念ながらまだクシナの彼氏ではないので、表だって態度に表わすことは出来ない。
でも、なんだか納得いかない。
「ねぇクシナ」
「ミナト。仕事終ったの?」
お疲れ様と笑いかけてくれるクシナを見て、結婚後の生活を想像してしまったのは仕方がないと思う。
そんな新婚生活いいなぁ。
そんなことを考えながら俺もクシナに笑顔を返す。
「ん、クシナに会いたくて頑張っちゃった」
「なっ……!?」
一瞬にして顔を真っ赤にしたクシナは口をぱくぱくさせていた。
でも本当のことだし。
「でもそのせいでクシナとお昼食べれなかったからさ、頑張った御褒美頂戴?」
俺が首を傾げて尋ねると、クシナは赤い顔で上目遣いで睨みながら「…御褒美?」と聞き返す。
こう言うときのクシナは照れてるって分かっているから余計可愛く見える。
「ん。放課後一緒にお茶しよう?」
ここでデートって言ってもよかったんだけど、多分クシナが恥ずかしがってOKもらえないかもしれないから、あえてのお茶。
赤い顔で俺を睨んだままのクシナ。
そこで俺はすかさず畳み掛けた。
「新しい喫茶店が商店街の通りに出来たらしいね」
クシナがぴくんと反応する。
「そこの紅茶は評判もいいんだって」
「紅茶…」
「ケーキも人気らしくて、早くもリピーターがついたって話」
「ケーキ…」
クシナは目をキラキラとさせている。
俺は止めとばかりに聞いた。
「日替わりケーキセットもあるみたいだけど、どうかな?」
クシナはハッと我に返って自分を取り繕った。
「ミ、ミナトがどうしてもって言うなら、仕方がないから行ってあげる」
「ありがとうクシナ」
態度どころか言葉さえ完全に取り繕えていなかったため、周りの友人達は呆れて笑っていたり、または複雑な表情をしていた。
俺が席に戻って弁当を取り出すと、前の席に座っていた友人が呆れた顔で言った。
「ライバルを牽制しつつデートに誘うたぁ、流石は生徒会長ミナト様。何でもお見通しってか?」
そんな友人の言葉に苦笑しながら俺は弁当を食べはじめた。
「自分がここまで嫉妬深いのは知らなかったよ」
ミナト様の前の席はシカクさんだと楽しい。
END
2011/9/5