彼のセリフシリーズ
□ひとりじゃないって気づいて
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※ミナ→クシ的な
初めてそれが恋だと気付いたのは、彼女の泣き顔を見た時。
強気でけんかっ早くて、明るくて負けず嫌いな女の子。
先生に怒られた時も、上級生と喧嘩して負けた時も、他里から来たよそ者と周りの人間が冷たく接しても、彼女は泣かなかった。
思いだす君は強気の笑顔でいることが多かった。
だからきっと、彼女は強いから泣いたりなんてしないんだろうと思っていた。
桜の下で涙を流す君を見つけた。
その時初めて気づいた。
彼女は確かに強い。
でもだからって傷ついていないわけじゃない。
先生に怒られた時も。
上級生と喧嘩して負けた時も。
周りの人間が冷たく接した時も。
泣かなかったんじゃない。
泣けなかったんだ。
泣きたかったのに、彼女には泣く場所がなかった。
弱みを見せることができなかった。
だから歯を食いしばって我慢して。
強気の笑顔は精一杯の強がり
心臓が痛いほど締め付けられた。
泣く場所がないなら、僕がなるから。
強がりの笑顔なんかじゃなくて、本当の笑顔を君ができるように僕がそばにいるから。
そのために忍術も頑張るから。
だから。
「ひとりじゃないって気づいて」
そんな勝手な独り言をぽつりと漏らした。
クシナがさらわれたのはそれからすぐのことだった。
END 2012/4/14