彼のセリフシリーズ

□声、聞きたいと思って
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※学パロ








今日はクシナと映画デートに行ってきた。



俺は風呂からあがってまだ濡れている髪を拭いていた。


クシナと付き合って初めてのデート。

俺はかなり浮かれてた。

クシナの私服可愛かったなぁ。

もちろん普段学校で見ている制服姿のクシナも可愛いけど。

待ち合わせ場所に来た時のクシナのあの可愛さと言ったら…

『ど、どこか…変…?』

って上目づかいで…

普段の印象からはギャップがあって自分の顔が熱くなるのがわかった。

その後、もちろんすごく可愛いよって言ったら、「ありがとうってばね」ってはにかんだ笑顔。

朝から俺の心臓にダイレクトアタックされて俺のライフはさっそく瀕死状態。

映画も面白かったしクシナも楽しかったって笑顔だったし。

映画見てるときのクシナも可愛かったなぁ。

表情がクルクル変わって驚いたり笑ったり泣きそうになったり。

意地っ張りなクシナは言動が天邪鬼だったりすることも多いけど、こういう時は素直だよね。

そういうところも可愛くて好きなんだけどね。

お昼を食べた時も、おいしそうに食べるクシナが可愛くて可愛くて…

デザートが来た時に目がキラキラしてて、思わず笑ったら少し顔を赤くして拗ねたように俺を睨んでたけど、全然怖くないんだ。

むしろ可愛いと思ってしまうくらいで。

自分の魅力を自覚していないところは恐ろしいと言わざる負えないけれど。

思わずため息をつく。




そう、クシナは自分の魅力に全く気付いていない。

クシナは元気で活発な女の子。

強気な気質も、明るい性格がクシナを引き立てている。

動くたびにゆれる赤い長い髪に触れたくていつも我慢しているのは内緒だ。

なのにどうやらクシナは自分に自信がないようだ。

学校では自分から俺のそばに来ることは少ない。

なぜかと聞いたら、可愛い女の子ばかりいるからだと返された。

俺から見たらクシナだけが特別可愛いくて、ほかの女の子は悪いけれども可愛いけれどそれまでだ。

クシナだけが特別。


クシナのことを考えてたら、なんだか会いたくなった。

明日は学校だし、クシナにも会える。

今日は早く寝ようかな。



そんなときだった。

携帯電話の着信音が鳴った。

一人だけ違う着信音に設定している、その音が聞こえた。

不思議に思いながらも嬉しくて頬が緩んでるのを自覚しながらも通話ボタンを押した。

「はい、もしもし」

「あ、ミナト。私、クシナだけど…」

「ん。どうしたのクシナ」

クシナの声は緊張していて、いつもより声も少し小さい。

「あの、お礼を言おうと思って。今日はありがとう。楽しかったわ」

「俺も楽しかったよ。また行こうね」

「うん」

「ミナト寝るところだった?」

「大丈夫だよ」

「そっか…よかった。あの、あのね…」

「ん?」

クシナは少し黙っていたが、ポツリと小さな声が聞こえた。

「ほんとは、ね」

「ん?」

…声、聞きたいと思って…

「……え…?」


可愛い言葉に俺の頭が停止した。

え、今、なんて…


「た、ただそれだけ!それじゃぁまた明日ね!オヤスミ!!」

そうこうしているうちに電話は切れてしまった。

ツーツーという電子音を聞きながら、俺の顔がじわじわ熱を持つのがわかった。

そして携帯電話を机に置くと、ベッドに突っ伏した。

「あぁーもう、可愛いんだもんなぁ」

きっと今頃クシナも赤い顔をしてベッドにでも包まっているんだろう。

あぁもうこれだからクシナは可愛いんだ。

さぁ、明日に備えてもう寝よう。


願わくば、俺だけがクシナの特別でいられますように。





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