記念日B
□クシナさんの楽しい誕生日
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「クシナの誕生日、予定空けといてね?」
今思い出しても、その時のミナトの目は絶対に笑っていなかった。
きたる7月10日は私の誕生日。
友達と誕生日のプレゼントの話で盛りあがっていた。
「あ、そうだクシナ。午前中だけ誕生日会やらない?」
「午前中だけ?」
妙な条件の付いた提案に思わず首をかしげてしまう。
「だって、きっとミナト君とデートでしょ?だったら午前中だけでも…」
「クシナ」
友達の話の間に聞きなれた声が聞こえた。
「ミ、ミナト?」
振り返ると笑顔のミナトがいた。
…いや、確かに笑顔なんだけど…
「クシナの誕生日、予定空けといてね?」
一日。
そう聞こえたのは気のせいか。
思わずその気迫に押されて私はコクコクと頷いた。
するとミナトは嬉しそうに私の手を取った。
「やった!じゃぁ、10時にクシナの家に迎えに行くね!楽しみにしてて!」
そういってミナトは笑顔で走って行ってしまった。
「…あー、プレゼントだけ渡しに行くね」
「…ごめん」
感謝の気持ちより、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
≪1、なんか目が笑ってないんだけど≫