記念日B
□紅葉狩り
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翌日、波風一家は早朝に家を出発した。
さすがに火影が里から遠く離れるわけにもいかず、木の葉の里から少し離れた場所にある秘湯へ行くことになった。
そこには小さいが泊まれるような小屋もあるので1泊過ごすならなんの問題もない。
お弁当や着替えなど最低限必要なものをカバンに詰め一家は山道を歩きだした。
山は赤く色づき、見事に紅葉していた。
「見て見てかあちゃん!このはっぱ真っ赤だってばよ!」
「それは紅葉よ、ナルト」
ナルトは真っ赤に紅葉した紅葉を手に持ってクシナに持って行く。
「これ、もみじって言うってば?」
「えぇ。綺麗ね」
クシナがそういうと、ナルトはにかっと笑った。
「かあちゃんの髪みたいで綺麗だってばよ!」
「!!」
赤くなって固まるクシナに対し、ナルトは「あ、あっちにも!」とはしゃぎまわる。
それを後ろで見ていたミナトは思わず笑ってしまった。
確かにナルトは俺の息子だ。
「ミナト!」
責めるように名前を呼ばれた夫は、赤い顔をした妻に「ごめんごめん」と軽く詫びをいれ、近くにあったイチョウの葉を2枚クシナの髪に指した。
「え、なに…」
「クシナほど綺麗な赤はないからね。これならクシナの赤が映える」
さらに真っ赤になった妻に思わず口づけて囁いた。
「そんなに可愛いく紅葉されると、俺も堪らないよ」
クシナは声も出せずミナトを見つめたまま赤い顔で固まった。
その時「かあちゃん!とうちゃん!はやく行くってばねー!」という元気な声が聞こえて、クシナはやっとの思いで体を動かし「ナルト!あんまり遠くに行っちゃだめよ!」と声をかけながら息子の後を追った。
妻の可愛い反応に思わず声を殺して笑っていると「とうちゃん!はやくー!」と元気な声が響いた。
その声に「今行くよ!」と声をかけて愛しい妻と我が子の後を追った。