記念日B
□どうしようこの人かわいすぎる
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火の国木の葉の隠れ里は意外と年中行事のイベントを行う。
それは春の花見であったり、夏祭りであったり、月見であったり、その他にもいろいろある。
そして冬にはもちろんあのイベントは欠かせないものとなっていた。
「おかえり、ミナト」
やっと火影の仕事が終わって家に帰ると、クシナが豪華な料理を作って待ってくれていた。
いつもは忙しくて、せっかく結婚しても、クシナに寂しい思いばかりさせてしまっているから、今日くらいはと皆も気を使ってくれたので、早く仕事を終えられた。
「ただいま。今日は豪華だね」
テーブルの上には、サラダやシチューやシャンパンが並んでいる。
そして、ターキーも並んでいた。
クシナは得意げにいう。
「だって今日はクリスマスだもの」
木の葉の里において冬の大きなイベントの一つに、クリスマスが挙げられる。
里の大通りは装飾され、里の人もどこか浮世だっているように見える。
もともとは厳しい任務をこなす忍び達への慰労会のようなものだったらしいが、いつしか外の文化と混じって、今では恋人や家族と過ごす特別な日となっている。
俺が部屋着に着替えてテーブルに着くと、クシナがシャンパンを注いでくれた。
「それじゃ、乾杯しましょ」
「ん。それじゃ、可愛いクシナにかんぱ「何だってばねそれ!?」
乾杯しようと思ったら、なぜかクシナに止められた。
なんでだろう。
「なんで私が可愛いことに乾杯するのよ!?」
「え、じゃぁ何に乾杯するの?」
そう聞くと、クシナはため息をついた。
「クリスマスに乾杯すればいいでしょ。みんなそれで気をつかって早めに仕事終わらせてくれたんだから」
それもそうか、と納得して改めて乾杯した。
「ん。クリスマスに乾杯」
「乾杯」
チンとグラスを合わせてシャンパンを飲んだ。
ん、おいしい。
「いただきます」
「どうぞ」
俺は並べられた料理に手を付けた。
料理はどれもおいしくて、素直に感想を言うたびにクシナは恥ずかしそうにする。
こんなに可愛くて料理上手な奥さんをもらえて俺は世界一幸せな男なんだろう。
楽しい食事も終わり、ケーキを食べていると、クシナが言いずらそうに口を開いた。
「あのね、ミナト」
「ん?」
「今日、クリスマスでしょ?」
「そうだね」
「クリスマスは、サンタさんが子供たちにプレゼントをくれるでしょ?」
「そうだね」
俺もアカデミーを卒業するくらいまでは、サンタさんという名の両親からクリスマスプレゼントをもらった。
「ミナトはもう大人だけど、私、サンタさんに頼んでプレゼント貰って来たの!!」
そういって赤い顔で差し出されたのは紙袋。
でも、俺はそれでころじゃない。
サンタさんに頼んだって…
どうしよう。
クシナが可愛すぎて困る。
だから、少し続けてみることにした。
お礼を言ってプレゼントを受け取る。
袋を開けてみると中から忍具用のポーチが出てきた。
ちょうど古くなったし、そろそろ新しいのを買おうと思っていたところだから、それはまさしく、俺の欲しいものだった。
「そっか。ありがとうクシナ。でも、サンタさんはよく俺の欲しいものがわかったね」
「わ、私がサンタさんに注文しておいたんだってばね!お礼も、サンタさんに言って!」
「そうだね。サンタさんも忙しいのに悪いことしたなぁ」
「だ、大丈夫だってばね!え、あ、大丈夫って言ってた!」
「そ、そっか…」
俺は頑張って笑うのをこらえたけど、どうしても肩は揺れてしまうし、表情も保てない。
クシナを怒らせてしまうのもあれなので、俺もクシナの話に乗ってみることにした。
「俺もクシナにプレゼントがあるんだ」
そう言って箱を渡す。
クシナは驚きながらも、お礼を言って箱を受け取ってくれた。
箱を開けると、その中身を見て俺に視線を向けた。
「サンタさんに相談したら、それが一番いいよって言ってくれて、それにしたんだ」
クシナに送ったのは赤いペンダント。
ことアクセサリーに関しては、男女で趣味が大きく異なるのでどうしようかと迷ったけれど、お店にいたサンタさん、つまり店員さんに相談してこれに決めた。
気に入らなかった?と聞くとクシナは首を横に振った。
「あ、ありがとう」
「ん」
嬉しそうに微笑むクシナを見てると、俺も幸せだよ。
「つけてあげるよ」
俺は席を立ってクシナの後ろに立つ。
カチリと金具を止めると、クシナの白い肌の上に赤い石が落ち着いた。
「ど、どう」
振り向いて上目づかいでクシナが聞いてくる。
「ん、すっごく似合ってる」
「ありがとうミナト。嬉しい」
そう言って笑うクシナに思わず口付けてしまったのはもはや必然だよね。
クシナが可愛いのがいけないんだよ。
こうして俺たちのクリスマスは楽しくて可愛いものとなった。
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