過去拍手

□きみをたぶらかす天使
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※第3者(オリキャラ)視点。






波風ミナトは優等生だ。

しかも、成績優秀で礼儀正しいだけでなく、その優しい笑顔と人当りから、皆の人気者だ。
これでモテないわけがなく、特にイベント時は大変だった。

わが親友のクシナも例にもれずミナトに恋する乙女の一人なわけだが、うん。
恋するツンデレは大変だ。



「ではこれからグループで影分身の練習を行う。1グループ5人で組めー」

青空の下の授業は、なんだか立っているだけで疲れる。
忍びとしてどうなのかはこの際置いておく。

先生の掛け声に皆がざわざわと移動する中にまぎれて移動する。

当然の流れながら、波風ミナトは多数の女子に囲まれ身動きが取れないほどになっている。

あれではお菓子に群がるアリのようだ。

隣をみると、羨ましそうに眺めているクシナが見えた。
クシナは影分身が苦手だから行きづらいのだろう。
本当は女の子としての自信がないからなんだろうけど。

「クシナは行かないの?」

小さな声で言ってみると、ぷいと顔を逸らした。

「誰がミナトのとこなんか」

その言葉にニヤリとして言う。

「私、誰とは言ってないわよ?」
「う、うるさいってばね!」
「あはは。はいはい一緒に組もうねー」
「ちょ、本当に違うんだから!」

真っ赤になったクシナを見てお腹を押さえて笑った。



「もっとチャクラのコントロールを意識してみたら?」
「チャクラの練が足りないのかなぁ」

各班内で指摘しあいながら授業が進み、「今日はここまで。来週テストするからな」という先生の言葉で授業が終わった。
テストということは、受からなければ当然居残り補習が入る。

「あーぁ、テストかぁ」とつぶやき、ふとクシナを見て思わず苦笑してしまった。

クシナは両手と膝を地面についてがっくりとうなだれていた。

「まぁまぁ。来週までに何とか形になればいいんだし」

肩にポンと手を置いた。
そしてにやりと笑った。

「でも今日の感じだとねぇ?」

クシナの影分身はふにゃっとした何かが現れるだけ。
このままではかなりヤバイことは確かだ。
クシナはさらにずーんと落ち込んだ。
しかしそれも一瞬。
クシナはがばっと立ち上がりぐっと腕に力を入れた。

「よし!頑張る!!」

落ち込んでも立ち上がるのが早いのはクシナのいいところの一つだ。

「がんばれー」
「うん。手伝って!」
「無理」

私が断ると未練がましくクシナが睨んだ。
私だって影分身やっとだもん。
人に教える域まで行ってない。
そう、これは愛の鞭。
それにクシナは声大きいからきっと聞こえてる。

「俺が手伝おうか?」
「…え?」

クシナがはっとして振り向くと、笑顔のミナトがいた。
クシナの顔がさっと朱に染まる。
うーん。わかりやすい。

「…ミナトが?」
「ん。嫌かな?」

クシナが嫌なら仕方ないけど、とミナトが寂しそうに首をかしげる。
しかし、いやらしい聞き方だなぁ。
クシナは慌てて首を振った。

「ち、違うってばね!そうじゃないけど…」
「けど?」
「私たちもいいかな?」

クシナはちらりとミナトの後ろに視線を移した。
ミナトも振り返る。
声をかけて来たのは、さっきミナトと同じ班だった女の子たちだ。
あきらかに練習ついでだろうことがわかる。
ミナトがどう断るのか気にはなったけど、仕方ない、クシナのためミナトに花を持たせてやるか。

「ミナト、クシナの先生するならつきっきりでぎりぎりだと思うよ」

クシナの影分身ひどいから。
私がそう言うと、「そういうわけだから」とミナトは女ん子たちの誘いを断った。
女の子たちはまだ何か言いたげだったが、私が「さっさと支度して練習始めたら?」と話を切り上げた。

「ん。クシナ行こう」
「え、あ、うん」

ミナトはクシナの手を取って走っていく。
その背に「がんばー」と手を振り見送る。
あー、クシナ顔真っ赤だ。
態度がツンツンしてても、反応がわかり易いからほとんど意味をなさない。
まったく可愛い友人だ。
残された女の子たちは面白くなさそうにクシナを睨んでいた。
これは多少気を付けた方がいいかもしれない。
そんなことを考えながら、教室へ足を向けた。

「あー、結婚式いつだろ」

そんな呟きは青い空に溶けていった。





NEXTいらないおまけ
ミナトの本性→
2013/5/9
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