この恋は実っていた。
□プロローグ
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誰かが言っていた。
誰かなんて覚えてないけど、その言葉だけはしっかり覚えてる。
『初恋は実らない』
今まで、そんなものに見向きすらしなかったが、今なら言える。
実らないわけじゃない。
気付いたときにはもう遅くて、叶わないものになってしまってるだけのこと。
お互いが想い合ってるならば、それはもう実っているのではないだろうか?
この人類が溢れてる中で、ある1人の人とお互いに想い合うことができるなんて、どれだけ小さな確率だろうか。
そう考えるならば、俺の初恋は実っていた。
たしかに、俺たちには色んな壁がありすぎたのかもしれないし、本当は恋なんてしてはいけなかった仲だった。
でも、俺たち2人とも後悔はしてない。
俺はそう、信じてる。
それでいいだろ?
…――志貴……?