あの日から僕の狂気は止まらない
□第四章
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『瀬織、』
会いたい、“あの人”に。
…でも、会えないから。
『―――っ!!』
愛してると何万回、何億回、声が枯れるほど叫んでも届きはしない。
届かないところに、貴方はいる。
なら、“届くところにいる貴方”を僕は縛り付けよう。
だって、もう失いたくない。
…愛してる。
あれから、2週間経った。双子兄は洗脳らしきものが完了したから、解放してやった。
そして僕は以前のように、計画をたてながら日常を過ごしている。
しばらくは双子兄の様子を見なくては、と思いつつ僕はふと、窓の外を見た。
今は授業中でなく、昼休み。
目線の先には卯玖がいた。
友達とサッカーをしている卯玖の笑顔。
……あの笑顔を、独占したいだけなのに。
閉じ込めてしまいたい。
誰にも見せたくない。
愛してるんだよ、貴方を。
ギュッと唇を噛み締めていると、突然背中に衝撃が来た。
そして、温かいものに包まれた。
「せーおり♪…何見てんの…?」
「皐月、まずは離れて下さい。視線が痛いです。」
クラスメートが憎しみの篭った目で見てくる。
別にそれを悲観してるわけではないが、面倒臭いしね。
だが、皐月は離すどころか、より腕の力を強めキツく抱き締めてきた。
「……ねぇ、瀬織。なんで卯玖君に執着すんのー?」
小声でそっと耳に囁かれる。息が温かいせいで耳にかかると全身鳥肌が立った。
押し返したいが、今それをすればこの鬱陶しい視線よりややこしいことになるので、グィッと自我を押し込めた。
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