あの日から僕の狂気は止まらない
□第一章
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ピピーッ、ピピーッ
カーテンの隙間から、明るい日差しが漏れ、深かった眠気をさました。
その上、このうるさい機械が僕の安眠を妨げている。
こんな、機械。
ほんと、
「…うるさい…、」
布団の隙間から手を伸ばして僕はガシッと騒音な機械―…時計を掴む。
ガチャンッ…!!!!
思いっきり時計を何処かに向かって投げつけると、途端に部屋は静かになり僕の安眠は守られた、……ハズだった。
バタンッ!
急に勢い良く寝室の扉が開いた。
「ちょっ、瀬織〜、それ何個目?ねぇ、毎日毎日、時計用意する俺の身にもなってよー…」
潜り込んでいた布団をバッと剥ぎ取られた。
……皐月…、?
「ていうか、もう起きなよー!ほら、……起きないとキスしちゃうぞ〜?」
「………、」
どうせ、起きなくてもするんだろう?
ほら、そう言いながら気配が近づいてくるのがわかる。
「瀬織…、」
名前を呼ばれ、仕方なく目を薄く開けたら、目の前には皐月………のドアップ。
「時間切れ♪」
「……っ、させません、よ!!」
ドガッ、!!
皐月の鳩尾に渾身の一発をお見舞いしてやると、皐月がバランスを崩し冷たいフローリングに身を沈めた。
「…っく、」
皐月が小さく呻いた。
「僕の…、安眠……。」
フラフラとベッドから立ち上がれば、皐月がだらだら汗を額にためながら後退りした。
「え…っと、……瀬織さん……ですよネー…?」
「皐月…、貴方って人は…」
皐月の顔のラインをスゥッとなぞり、顎をくぃっとあげる。
皐月の焦りと不安を帯びた顔を見て、僕は満足げにクスリと笑って見せた。
「お仕置きが……、必要みたいですねー…?」
「え、ちょ、?せ、瀬織ー?」
(あー、この部屋防音でよかった。)
皐月の悲鳴のなか、そんなことを考えていた。
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