あの日から僕の狂気は止まらない

□第四章
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「執着…?いえ、愛です。
これが、僕の愛し方なんですよ?」



執着でないと言えば嘘になる。
だから曖昧に。


そんな僕を察したのか、皐月が笑った気がした。



「…瀬織の愛、羨ましいなぁ卯玖君はー。
こんなに大きい愛にどうして気づかないかなぁ…。

俺なら、同じくらいで返すのにー。」

「……、っ」



また耳元で囁かれたと思えば、今度は耳朶を甘噛みされた。


しだいに皐月の行動は勢いを増して、耳の裏に舌を這わされる。
生暖かいそれに、吐き気と小さな快楽に似たものが自分の中で生まれた。




「皐月…っ、人が」


見てる、と言おうとしたとき、周りを見渡した。

すると先程までいた生徒たちが皆いなくなっていたので、僕は少し呆けてしまった。

頭上で皐月が可笑しそうにクスッと笑った。



「もう、いないよー?」

「…次は体育でしたか、」



時計を見れば、チャイムが鳴る5分前。
なるほど、生徒がいないはずだ。




「…ねぇ瀬織、生徒がいないならいいでしょー?」

「ダメです。したら目抉りますから。」



パン、と皐月の手をはね除け、ゆっくりと椅子から腰をあげる。



「どこか行くのー?」

「はい、…そろそろ双子の兄が弟に接触している頃かなと思いまして。」



あれから双子兄のほうは、“牢屋”から解放してやった。


だが、怪我した足や腕の治療を兼ねて数日程度、病院で入院させていた。



そして、今日彼はこの学校に戻ってくる。




「皐月も、見てみたいとは思いませんか?

愚かな者達による、汚い芝居をね…。」



ニコリ、と僕が笑うと皐月もその綺麗な顔を歪ませた。



「うん、もちろんだよ?瀬織」







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