忍者
□戯言と黒い追跡者
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「ナルト、お前はこのままで良いのか?」
皆がいない中、カカシ先生に急にそう訊かれた。
「え、なにが?」
意味が分からなくて訊き返すと、カカシ先生は溜息をついた。
「最近、無口だし笑わないじゃないか。イルカ先生も心配している。原因は…サクラとサスケでしょ?」
図星でぐっと言葉を詰まらせた。
「ナルト、サスケのこと…」
「いいんだってばよ。このままで」
カカシ先生が言おうとしている言葉が分かって、オレはすかさずそれを遮った。
「黙れば、すぐ終わるから」
「…余計、ややこしくなっているだけだと思うんだけどね〜」
「? どういう意味だってば?」
「いや、何でもないよ。それでナルトは後悔しないのか?」
「後悔も何も、元から期待なんかしてないってばよ」
そう期待なんかしていない。恋を自覚してオレはすぐに諦めたんだ。
後悔なんかするわけがない。もうとっくの昔に諦めているのだから。
カカシ先生は切なそうに眉をひそめた。