忍者
□戯言と黒い追跡者
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「そうか…それなら良いけど。ねえ、ナルト。訊いてもいいか?」
「何だってば?」
「もしサスケがお前のこと好きだったら、どうする?」
「どうもしないってば。有り得ないもん」
「もしもの話だよ。どうするの?」
「断るってばよ。だって、結局引き離されるんだし」
皆から祝福されないだろうし、上層部辺りにあの手この手で別れさせられるに決まっているってば。
「だったら、最初から結ばれないほうが良いんだってば。オレといたって幸せになれない」
そう。幸せになれるわけがない。サスケ以外の男を好きになっても、それは同じこと。
どうせオレは一生、一人身なんだ。
「話はそれだけ?」
「…ああ、また明日ね」
「さようなら! 明日こそ、遅刻するなってばね!」
踵を返して手を大きく振りながら、オレはその場を走り去った。
そんなオレの背中を見ながら、カカシ先生が泣きそうな顔をして。
「ナルト、お前にだって幸せになる権利はあるんだよ…四代目だってそう思っているはずなんだ。そんなんじゃ、悲しすぎる…」
と、呟いたのをオレは知らない。