忍者
□戯言と黒い追跡者
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男になりたくて、言葉遣いも振舞い方もそれっぽくした。
けど、心の中ではそんな自分を否定していたのか、この髪は切れなかった。
「本当に男だったら良かったのに…」
そうだったら、サスケなんかに恋することもなかった。
いや、したかもしれないけど、男だからと諦めがついたかもしれない。
でもオレは女。それが要因で諦め切れていない。
男だったら…サスケに恋しなかった?
男だったら、サクラちゃんにライバル視されなくて済んだ?
男だったら、さっきのようにイチャモンつけられなくて済んだ?
そう思うと、女であるオレが恨めしくなった。
どうしてオレは女に生まれたの?
男のほうが楽だった。楽だったのに…。
一房の髪を掴んで、それをじっと見つめる。
そういえば、サスケの好みって長い髪の子だったっけ。これが無くなったら、規格外になる。
そうならそれで良いと思う。それで諦めがつくのなら。
女々しいのは嫌い。なら、自分から可能性を摘み取ればいい。
完全な男になれるわけがない。女に生まれたからには、一生女で生きるしかない。
けど…男のように生きることが出来る。男のような振る舞いが出来る。
(男だったら…男だったら…)
オレはクナイを取り出して、一房の髪の根元にそれを当てあがった。