忍者
□戯言と黒い追跡者
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「ナルト!? どうしたの、その髪!?」
そのまた翌日。集合場所に行くと、先に来ていたサクラちゃんが驚いた顔でオレの頭を指差した。
そう。オレは長かった髪を切って、ベリーショートにした。
開いた口が塞がないサクラちゃんを見て、オレは笑った。
「いい加減、邪魔になったから切ったんだってばよ! すっげえスッキリしたってば!」
さっぱりしたという表情を張りつけて、嘘を吐く。
「って、切り口がひどいじゃない! どうしたらこうなるのよ!」
「え、クナイで切ったから?」
「クナイって…美容院に行きなさいよ!」
「お金かかるから嫌だ」
「なら、せめてハサミで切りなさいよ…あーあ、勿体ない。アンタ、髪だけは綺麗だったのに…」
「髪だけって…ひどいってば」
名残惜しそうにオレの髪を触るサクラちゃんが嬉しかった。
こんな普通に話すのは本当に久しぶりで、髪を撫でる感触も久しぶりで思わず顔が綻ぶ。
「なんで、そんなに嬉しそうなのよ」
そんなオレにサクラちゃんは怪訝そうな顔を見せる。
「なーんでもないってば!」
サクラちゃんに抱きつくと、呆れながらも抱き返してくれた。
髪を切っただけで、前と同じ会話が出来る。それが無性に嬉しかった。
その分、リスクは大きかったのかもしれない。けど、今のオレにとっては大したリスクではなかった。
その様子をサスケが不機嫌そうに見ていたことをオレは知らない。