忍者

□戯言と黒い追跡者
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サクラside


あの子が髪をばっさり切って、集合場所に来たことに私はすごく驚いた。

だって、そんな予兆はなかったから。話も聞いてなかったし。

…話? ううん、私は最近、あの子と話すらしていなかった。

最近はサスケ君を追っかけてばかりで、気にしてもいなかった。

だから予兆も何も、感じ取れなかったのは無理もない。

…いいえ、それは言い訳でしかない。

あの子がサスケ君のことが好きだと分かって、すごく焦って変にライバル視して、負けるもんかって思ってあの子のことを放ったらかしにした。

今思えば、私は自分のことばっかりで、あの子のことを考えていなかった。

あの子は寂しがり屋だから、私がサスケ君ばっかり追いかけていたことに寂しい気持ちでいたのだろう。これは自惚れじゃない。確信。

私はあの子が寂しそうな目で私を見ていたことに気付いていたのに、それに気付かぬ振りしていた。

最低だ、私。

思えば、あの子はサスケ君に対してはあの子らしくなく消極的だった。
それ以前にサスケ君を手に入れるつもりはなかったのだと思う。

そこまで気付けば、私は勝手に決め付けて、一方的にナルトを敵視したことにやっと理解した。

嬉しそうに私と言葉を交わして、抱き付くあの子に罪悪感を抱いた。

ごめんね、寂しい思いをさせて。

呆れたように溜息をつくのは、私の強がり。抱き返すのは謝罪の意。

任務が終わった後、私はナルトの切り口を整えようと、ナルトの家を訪れた。

初めてナルトの部屋に来たけど、必要最低限のものしかなくて驚いた。それ以外といえば、観葉植物だけ。

女の子らしいものは一切無くて…いや、あったらこの子らしくないと言えばそれまでだけど、でも一つくらいあってもいいじゃないかしら?
 
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