忍者
□私たち、失恋しました
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「だったら…良かったのにね」
そうだったら、まだ諦めなかったのかもしれない。
「実は両片思いなのよね」
「…は?」
「しかも相手は自分の境遇のことがあるから告白しないって言うし。
さらにその子、鈍いからサスケ君の想いには全然気付かないし」
さらにさらに。サスケ君は素直じゃないし、あの子も素直じゃないし。
「不器用すぎて、でも微笑ましくて…なんか戦意喪失したってわけ」
あの二人を見ると、心から応援したくなる。不思議よね。
いのには負けるかって思った。でも、あの子には勝てないって悟って。
「で、その相手は…」
「ナルト。今頃、サスケ君と修行してるんじゃないかしら」
サスケ君、ナルトに会うために修行場に行っているようなものだし。
「じゃ、私も失恋ね」
「いの…」
「失恋パーティーと洒落込もうじゃないの」
不敵に笑ういのにサクラは笑って返した。
「…うん!」
この子って、こんな大人びた顔で笑っていたっけ?
いのは思った。
あぁ、そうか。この子は私よりも大人だったんだ。
だって、自分よりも相手の幸せを願っている。それは健気な大人のようで。