忍者

□私たち、失恋しました
4ページ/5ページ

 
まだ子供と思っていたのに。私のほうが子供だった。

あなたは昔のように幼稚な恋をしていたわけじゃなかったのね。

本当の恋を知って、本当の失恋を知ったのね。

いつの間に成長したのかしら。


「初恋は実らないっていうけど」


不意にサクラは言った。


「私は実らなかったけど、あの二人は実ったんだから、結局は運命の糸次第なのね」


たまたま私はサスケ君の運命の人じゃなくて、私もサスケ君が運命の人じゃなかった。ただ、それだけ。

それだけなのに、とても辛い。


「あの二人のように私も運命の人、見つけられるかな…」

「見つけられると信じるしかないわよ。アンタも私も」


うん…そうだね、とサクラは遠い目をしながら呟いた。






ずっと好きでした。ずっと見てました。

だから知ってしまったのです。あなたの想いを。

嫉妬もしました。妬みもしました。

でも、それ以上にあの子の幸せを願っている私に気づいたのです。

あなた、よりもです。

あの子は12年間、私とスーリーマンセル組むまで友達がいませんでした。

だから、あの子は私のことを大事に想ってくれて。

あんな真っ直ぐな好意を寄せられたら、裏切るなんて出来なかったのです。

だから…。

いつも寂しさと悲しさを纏うあの子をどうか幸せにしてください。

それが私の幸せに繋がるのですから。

諦めてよかったと思えるから。


(泣かしたら、いくら元想い人だからって容赦しないんだから)


あの子とあなた。

どうか、想いが通じ合いますように…。

そう願って、私は失恋します。





おわり
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ